「とりあえず、たたき台作っておいて」と指示されたことはないだろうか。企画書や資料を作る際、最初は完成度が低いものから始まり、いろいろな人の意見やアイデアを取り入れながら次第に完成度を高めていくことになる。その一歩目になるのが、たたき台だ。
このたたき台が難しい。完璧に作りこむ必要はないが、あまりに完成度が低すぎるとたたき台の用をなさないことがある。企画の方向性は抑えつつ、議論を活発にし、皆のアイデアを掻き立てるたたき台とはどのように作るのか。
■仕事ができる人は「たたき台」をこうやって作る
『仕事がデキる人のたたき台のキホン』(田中志著、アルク刊)では、「5つのS」をヒントに、誰もができる「たたき台」の作り方と使い方を紹介する。どんな状況・場面でも応用できるたたき台を作るために、5つの頭文字から取った基本の5Sを本書ではあげている。
1.スピード
たたき台を作るときには、スピードが何より重要になる。依頼されたその日から、たたき台を作り始めるぐらいのスピード感が必要。なので、とりあえずでいいので、まずは手を動かす。満点を狙わず、未完成であるからこそたたき台としての意味がある。
2.シンプル
情報を入れすぎず、デザインに凝らないことで、とにかくわかりやすくする。文章を入れる場合は、修飾語をできるだけ削って短くすると、意味が伝わりやすくなる。
3.刺激
たたき台は相手の思考に刺激を与えることで、意見やアイデアを引き出し、内容が進化していく。なので、何かを言いたくなることが重要。たたき台で刺激を与えることで、相手が何を考えているか、何を望んでいるかを引き出せる。
4.質問力
たたき台を作る人は「何を考えなければいけないか、作らなければいかないか」という問いと常に向き合い、議論を重ねるなかでアップデートしていく必要がある。企画の意図や問題点を理解するために的確な質問をすること。
5.隙
完璧に仕上げるのではなく、あえて突っ込まれる余地を残しておくこと。人は空欄があると、無意識に埋めようと考える。それを利用して、相手に考えてもらいたいときは空欄にしておく。たとえば、「この案件で最も重要なことは〇〇○である」とたたき台に入れておく。そして、「この〇〇○に何が入りますか?」と問いかける。
たたき台は、「他人のアタマを借りる」ための道具でもある。本書からたたき台の原理・原則や使い方を身につけ、仕事に活用してみてはどうだろう。(T・N/新刊JP編集部)
※本記事は、「新刊JP」より提供されたものです。