お盆休みということで、海外旅行に出かけたり、遊びに行った先で日本にやってきた外国人観光客に話しかけられたりと、英語を使う機会が増えるこの時期。これまでに何度も言われてきたことだが、英語、特に英会話に苦手意識を持つ日本人は少なくない。ある程度英語の読み書きができる人でも「会話は苦手」という人もいる。
「セックス・アンド・ザ・シティ」に現れる英会話のツボ
英会話が苦手な理由については「単語力が足りないから」だと考えられがちだが、『海外ドラマはたった350の単語でできている』(Cozy著、西東社刊)はこの説を否定する。というのも、英語ネイティブが日常会話でよく使っている単語は、実はかなり絞られるからである。
本書では、日本でもおなじみのドラマ『セックス・アンド・ザ・シティ(以下、SATC)』のシーズン1~6までの全94話、トータル45時間分に出てくる全セリフを調査。それによると、出てくる単語の数は約12,000語だったそうだが、うち5,188語は1度きりしか出てこないワードだったそう。しかもこれらのワードは全セリフの1.9%を占めているに過ぎなかった。
逆に10回以上登場する頻出単語によって、「SATC」のセリフの92%が占められていた。これらの単語の総数は約1,900語。この数は中学校で必修とされる単語数(1,200~1,500)よりは多いが、大学受験で必要とされる単語数(3,000)よりは少ない。「SATC」に出てくる会話はアメリカ人のざっくばらんな日常会話そのもの。そう、英会話がわからないのは語彙力の問題ではないのだ。
英会話に最重要のワードを日本では教えない?
この調査の結果からいえば、「SATC」に10回以上出てくる1,900ワードを身につければ、大方の英会話はこなせてしまうことになる。もっというなら100回以上出てくる単語は約350語。この350語で「SATC」のセリフの約80%が占められているため、これらだけを身につけても、かなりの英会話をこなせることになる。もちろん、わからない単語には出くわすはずだが、その時は相手に意味を聞けばいい。
おもしろいのは、このドラマに何十回も出てくる「最重要単語」の中には、日本の学校で教えないものが多々あるということ。たとえば「cab」は「タクシー」を意味する単語だが、日本の英語の授業ではあまり出てこない。「タクシー」は「taxi」と覚えていることが多いはずだが「cab」の方も覚えておくと便利だろう。
また「gonna」「wanna」はそれぞれ100回以上出てくる単語なのだが、これらも日本ではあまり教えない言葉である。「gonna」は未来形「going to」の口語表現で、「wanna」は「want to」の口語表現。日本の英語の授業は口語表現がかなり手薄なのだ。
しかし、これらは生の英会話では本当によく使われる。自然に口から出るように、また耳で聴いたときに理解できるように、慣れておきたい表現である。
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最小限の努力で最大限英会話を身につけるための、「ツボ」が本書では明かされている。「SATC」に再頻出の単語を押さえておけば、英会話のかなりの部分をカバーできるはず。短時間で英会話を上達させる必要がある人はまちがいなく重宝する一冊だ。(新刊JP編集部)
※本記事は、「新刊JP」より提供されたものです。