スウェーデン発、日本でも大人気の家具量販店・イケア。
日本国内では2006年に第1号店の船橋ストアがオープンして以来、次々と店舗を増やし、4月10日には都内初の店舗が立川にオープンしました。
日本でも成長を続けているイケアですが、注目すべきは社員を大切にする企業風土です。日本の一般的な会社ではまず考えられないような仕組み作りが徹底的になされています。
ここではそんなイケアの理念経営について取り上げた『イケアはなぜ「理念」で業績を伸ばせるのか』(立野井一恵/著、PHP研究所/刊)から抜粋して、イケアの驚きの社内制度を紹介したいと思います。
■パートタイマーも幹部候補
日本の企業においてはいわゆる「雇用の調整弁」であることも多いパートタイマー。イケアの場合、パートタイマーであっても、アシスタント的なスタッフではなく、長く在籍して戦力となる人材、将来的にリーダーになりうる人材に来てもらいたいという方針をとっています。
驚くべきことに、イケアグループの元最高経営責任者であるミケル・オンソン氏も、パートタイマー出身です。スウェーデンでは在学中や卒業後に「ギャップイヤー」と呼ばれる期間をとり、アルバイトなどをしながら人生設計について考えるのが一般的なのですが、オンソン氏もこの期間にイケアで働き始めたそうなんです。
■週40時間勤務、残業は禁止
イケアの場合、社員全員が長期休暇を取得すること、残業しないことが前提になっています(イケア・ジャパンでは緊急時を除き残業は禁止)。
勤務形態は3種類あり、フルタイマー(週40時間)、セミフルタイマー(週30時間)、パートタイマー(20時間以下)は、それぞれ労働時間に見合った成果を求められます。
自分自身の人件費についても「経費」としてとらえるコスト意識が社内に浸透しているからこそ、実践できる制度だと言えそうです。
■異動・配属は社内公募で決定
イケアでは、入社した時の契約条件、ポジションやセクションでその後のキャリアが決まるわけではないといいます。
イケアには、驚くべきことに、会社側の辞令による転勤がありません。一部のトップ人事を除き、異動や配属の約85パーセントは「オープン・イケア」と呼ばれる社内公募制度で決まるそうです。
「オープン・イケア」は、会社側・社員側にメリットがあります。会社側はモチベーションの高い社員の中から適性や能力を考慮してベストな人事を選ぶことができ、社員側は青天の霹靂で予想もしない部署に異動させられることもなく、自分の意思でキャリアパスを決めることができるのです。