今回は、『資格を死格にしない資格活用法』(合同フォレスト)の著者で、自身でも50個の資格を保有する高橋ゆり氏に、取得しても無駄にならない資格について話を聞きました。
高橋ゆり氏(以下、高橋) 医師、看護師、管理栄養士、弁護士、公認会計士などの難関国家資格や特殊技能を認められて与えられる資格であれば、その資格によって仕事を得て収入に結びつけることもできるでしょう。取得すること自体に価値がある資格といえます。
しかし、事前になんの知識や経験もない人でも必ず取得できる資格が存在します。それは各種学校や資格スクールの教え方や教材が特別に優れているからというわけではありません。意外にも、そんな合格率100%の資格は、さまざまな分野に驚くほど数多くあるのです。
●合格率100%の資格は受講料目当て?
–具体的には、どのような資格がありますか?
高橋 その例としてはハウスクリーニング技能士、ファイナンシャル・リスクマネジャー、着付インストラクター、台湾式リフレクソロジスト、認定ウエディングスペシャリスト、心理フラワーカウンセラー、コーヒーコーディネーター、紅茶コーディネーター、雑貨カフェクリエイター、樹木医、ベビーマッサージインストラクターなどが挙げられます。
–たくさん挙げられましたが、ほかにも合格率100%の資格はあるのですか?
高橋 はい。まだ数多くあります。これらのほとんどが「講習→試験→認定」というコースを経て資格を取得できるのですが、その費用は高額です。つまり、これらは資格認定団体が受講料を集めるためにつくった資格だといっても過言ではありません。なかには、環境カオリスタのように「通信教育→在宅試験」で99%が合格するような資格もあります。
–試験会場にすら行かなくていいのですか?
高橋 はい。ほかにも、合格率100%とまではいかなくても、90%超の資格としてアロマセラピスト、キャンプインストラクター、ツアーコンダクター、ラッピング・ディレクター、賞状技法士(3級)、肥満予防健康管理士、エステティシャンなどがあります。
これらの資格が悪いわけではありませんが、試験や研修さえ受ければ、ほぼ全員が手にできる資格に、どれほどの価値があるのでしょうか。短期間で誰でも合格してしまうのなら、「お金で買った資格」と言われても仕方ありません。
特に問題視すべきは、このような資格の多くは「自宅で開業可能」「取得後すぐに独立できる」「月に数十万円の収入を得られる」など、それによって簡単に収入を得られるかのごとく宣伝していることです。資格を取得すれば簡単に起業でき、収入も得られると、その資格に関して無知な人たちにアピールしています。しかし実際、資格を取得しただけでは稼げません。