●取得した資格を生かす方法
–これらの資格は、取得しても生かせないのでしょうか?
高橋 まったく生かせない資格なのではありません。例えば、美容師が着付インストラクターを取得する、喫茶店経営者がコーヒーコーディネーターや紅茶コーディネーターを取得する、植木職人が樹木医を取得するのであれば、たとえ合格率100%の資格であったとしても、本業のプラスになるかもしれません。
–取得する前に、本業との兼ね合いを考える必要がありますね。
高橋 本業との兼ね合いももちろんですが、資格名から仕事の内容をイメージできるものは、その人の本業を生かすために効果があるといえます。贈答品を扱う仕事をしている人の名刺にラッピング・ディレクターという資格が書かれていれば、贈り物はその人に包装してほしいと思いますし、保健師などがベビーマッサージインストラクターの資格を持っていると、赤ちゃんを扱うスペシャリストだと感じさせます。
もともと知識や経験がある上に、それを補足するような意味合いを持たせられれば、どんな簡単に取得できる資格だとしても意味があるといえるのはないでしょうか。
資格は、どのように使うかで生かしも殺しもされるのです。知識や経験のない分野で仕事を始めるときに、その仕事内容や業界を理解するために受講・受験する資格もあるでしょう。しかし、どの分野であっても、資格さえ取得すれば簡単に稼げる仕事などないと心得ておく必要があります。
(文=尾藤克之/経営コンサルタント)
●尾藤克之(びとう・かつゆき)
東京都出身。経営コンサルタント。代議士秘書、大手コンサルティング会社、IT系上場企業等の役員を経て現職。人間の内面にフォーカスしたEQメソッド導入に定評。リスクマネジメント協会「正会員認定資格HCRM」、ツヴァイ「結婚EQ診断」監修等の実績。著書に『ドロのかぶり方』(マイナビ新書)、『キーパーソンを味方につける技術』(ダイヤモンド社)など多数。