例えば、1都3県の平均的な1日の通勤時間は約90分ですが、これが東北や北信越になると54分で、約40分も短くなります。1カ月にすると840分、つまり14時間の差になります。月14時間分のストレスの削減と、その時間を家族や自分のために使えることは、仕事とプライベートの両立を支える大きな要素となると思います。
–地方だとコストメリットも大きそうですね。
中村 都会と決定的に異なるのが賃料の安さです。都会であればワンルームでも月額7~8万円はかかり、人気の場所で新築なら10万円は下りません。ところが、地方では月額7~8万円でファミリーユース向けの物件が借りられる場所も少なくありません。一戸建てであれば割安感の高い掘り出し物も見つけられます。
●Uターン、Iターンの留意点
–Uターン、Iターンで気をつけるべき点はありますか?
中村 「地方はどの会社もゆったりしていて働きやすいに違いない」などの先入観は持たないことが大切です。企業によって差がありますから、業務内容や就業形態は確認しておく必要があるでしょう。
–ほかにも留意点はありますか?
中村 その地域ごとの風習などもありますから、人付き合いが苦手な人は、地方の中でも大きい都市や新興住宅街を選択したほうが無難でしょう。また病院、学校、買い物などにも不自由を来さないようにチェックをしておく必要性があります。いずれにしても事前に情報を仕入れておくことが大切です。
加えて、小さなお子さんを預ける保育施設に入園しやすい環境が整っていることも、共働き夫婦には大きなポイントになると思います。
念願の正社員の待遇を獲得し、ストレスのない生活を送り、豊かな地方ライフを実現させるためにも、事前の情報収集は怠らないようにしたいものである。
(文=尾藤克之/経営コンサルタント)
●尾藤克之(びとう・かつゆき)
東京都出身。経営コンサルタント。代議士秘書、大手コンサルティング会社、IT系上場企業等の役員を経て現職。人間の内面にフォーカスしたEQメソッド導入に定評。リスクマネジメント協会「正会員認定資格HCRM」、ツヴァイ「結婚EQ診断」監修等の実績。著書に『ドロのかぶり方』(マイナビ新書)、『キーパーソンを味方につける技術』(ダイヤモンド社)など多数。