どんな会社にとっても、「次に誰をトップに据えるか」という“後継者”の問題は切実です。
これはつまり「自社を未来にわたって継続、発展させられる経営の資質をもった人材をどう見極めるか?」ということであり、大変な難題です。新社長を他社から招くという手法が近年注目を集めていますが、できれば自社社員の中から探したいというのが本音でしょう。
では、社内にいる人材の中から、会社の未来を託すことのできる真のリーダーを見定めるには、どんなところを見ればいいのでしょうか?
リーダーシップ育成の専門家集団、ヒューマンサイエンス研究所は、著作『本当のリーダーはどこにいる?―優秀なだけで社長にしていいのですか?』(ダイヤモンド社/刊)の中でこんなユニークな理論を提唱しています。
優秀な人材は優秀な経営者にあらず?
次期社長候補を探す時、普通に考えれば、仕事で結果を残し続け、出世街道に乗っている「優秀な人」を候補に挙げるはずです。
でもちょっと待ってください。社員として「優秀」と評価される人、つまり「社員の仕事」をうまくこなせる人の資質というのは、上司から与えられた仕事を段取りよくソツなく進めることができる能力だったり、会社の意向に従う素直さだったりします。
一方経営者は、予測困難な未来に向けて、会社を舵取りしなければなりません。それには変化に対応できる柔軟性やリスクを恐れず飛び込む勇気こそが求められます。つまり、社員としての資質と経営者に求められる資質は同じではなく、必ずしも優秀な社員がいい経営者になれるとは限らないのです。
未来の経営者は“問題児”の中にいる
では、どんな変化にも対応して会社を経営する資質をもつ社員はどこにいるのでしょう?
本書では、“職場の問題児”の中にこそ、そういった経営者としての可能性を秘めた社員が埋もれているとしています。
“職場の問題児”とは、言い換えれば「上司に疎まれる社員」です。
例えば、上司に対してあまりに本質を衝く反論をしたり、現状を一度崩さないと実現できないような理想論ばかり主張するタイプの社員は、あまり上司にいい顔をされないはず。ただ、納得いかないことに反論したり、現状に波風を立ててでも理想に向かって新しい取り組みを考えるというのは、経営者としてはむしろプラスに働くことが多いのです。
もちろん、上司に疎まれる人すべてが経営者に向いているわけではありませんが、社内でくすぶっている不満分子や皮肉屋をよくよく見直してみると、ダイヤの原石のような逸材が見つかるかもしれません。
どんな人材を経営の後釜に据えるかというのは、会社の未来を左右する重大事です。だからこそ、優秀な社員ばかりに目を向けるのではなく、社内のあらゆる人材にも目を配るべきなのです。
本書には、会社を今よりさらに発展・繁栄させる資質あるリーダーを見極める極意が読み物的にわかりやすく解説されていますので、後継者に悩む経営者や人事に携わる方は、未来を託せる人材探しに役立ててみてください。
(新刊JP編集部)
※本記事は、「新刊JP」より提供されたものです。