――今後は、どういったサービスを予定していますか?
田中 コンシェルジュの、靴の知識を充実させていきたいと考えています。また、靴の悩みを抱えているお客さんというのは非常に多いです。外反母趾であったり、甲が高かったり、またリアル店舗へ行っても在庫がなかったり、通販サイトでは実際に履いてみることができない、という不満があります。そういったお客さんが、もっと靴を見つけやすくできるようなサービスを追求していきたいですね。
また、最近ではバッグの取り扱いも始めましたし、今秋からアパレルも取り扱う予定です。靴を安心して買えるサイトなら、他の商品も安心して買っていただけるのではないでしょうか。
――一方で、ロコンドの経営状況が良くないのではないかという指摘もありますが、このタイミングで本を出されたのは?
田中 本に関して、はたまたま時期が重なっただけです。ロコンドは、創業直後、当時の100%株主であるドイツのインターネットキャピタル、ロケット・インターネットの意向もあり、かなりの垂直立ち上げをしました。それこそテレビCMを打ったり、どんどん在庫を増やしたり、立派なオフィスを借りたりしました。そのことで出た損失なんです。つまり1年前からすでにわかっていた損失なので、取引先様にもかなり前からご理解をいただいていましたし、今は収益体質も大きく改善されています。
――本書を、どんな人に読んでもらいたいですか?
田中 みんなでインパクトを出して、日本や世界を変えていこうと思っているので、そういった価値観を自分と同年代の人たちと共有できればうれしいですね。
(構成=本多カツヒロ)
●田中裕輔(たなか・ゆうすけ)
2003年一橋大学経済学部卒業後、マッキンゼー・アンド・カンパニー・インク・ジャパンに入社。26歳で同社史上最年少マネージャーに就任。09年、カリフォルニア大学バークレー校経営大学院にてMBA取得。ディー・エヌ・エーアメリカ支社においてマーケティング・製品担当上級副社長を経て、11年1月、株式会社ジェイド(靴の通販サイト「ロコンド」運営会社)の創業に参画。同年2月、同社代表取締役に就任。