ビジネスジャーナル > キャリアニュース > なぜ日本企業はルンバつくれない?  > 2ページ目
NEW

なぜ日本メーカーはルンバをつくれない?「ニーズの断捨離」で新しい常識と顧客を創造

文=永井孝尚/オフィス永井代表

 同じような例は多い。英ダイソンの羽根のない扇風機は、「扇風機は羽根に注意」という常識に挑戦し、「羽根なし」の扇風機をつくり、安全重視の人が使っている。最近、蘭フィリップスは家庭用自動製麺機を開発・販売している。日本人のほとんどは週に1回以上麺を食べるが、麺を自宅でつくる人はほとんどいない。そこでフィリップスは「消費者が気づかない潜在ニーズは大きい」と考え、「麺は買うもの」という常識に挑戦し、「麺は自宅でつくる」という新しい常識を掲げ、市場創造に挑戦している。

 古くは日本の家電メーカーの事例もある。真空管ラジオ全盛の1950年代に、ソニーはトランジスタラジオを開発。それまでの「ラジオは自宅の居間で聞く」という常識に挑戦し、「野外で聞く」という新しい常識をつくり、若者リスナーを生み出した。

 このように「ニーズの断捨離」は、常識に挑戦し、顧客を創造する。「新しい顧客を創造する」ことは、すなわちイノベーションそのものだ。現代のイノベーションは、「ニーズの断捨離」が生み出すのだ。それは顧客の言いなりにならず、顧客の課題・ニーズ・ウォンツ(要求)を先取りする「顧客中心主義」が実現するのだ。

 本連載では、マーケティングやビジネススキルについて、さまざまな事例を深掘りしながら紹介していきたいと考えている。ぜひご意見・ご感想などをいただければ幸いである。
(文=永井孝尚/オフィス永井代表)

永井孝尚/ウォンツアンドバリュー株式会社代表

永井孝尚/ウォンツアンドバリュー株式会社代表

 マーケティング戦略アドバイザー。1984年に慶應義塾大学工学部を卒業後、日本IBMに入社。マーケティングマネージャーとして事業戦略策定と実施を担当、さらに人材育成責任者として人材育成戦略策定と実施を担当し、同社ソフトウェア事業の成長を支える。2013年に日本IBMを退社して独立。マーケティング思考を日本に根付かせることを目的に、ウォンツアンドバリュー株式会社を設立して代表取締役に就任。専門用語を使わずにわかりやすい言葉でマーケティングの本質を伝えることをモットーとし、幅広い企業や団体へ年間数十件の講演やワークショップ研修を実施。さらに書籍・雑誌の執筆、メディア出演などで、より多くの人たちにマーケティングの面白さを伝え続けている。主な著書に、シリーズ累計60万部を突破した『100円のコーラを1000円で売る方法』シリーズ(全3巻、コミック版全3巻、図解版、文庫版)、『そうだ、星を売ろう』、『戦略は「1杯のコーヒー」から学べ!』、『残業3時間を朝30分で片づける仕事術』(以上KADOKAWA)、『「戦略力」が身につく方法』(PHPビジネス新書)がある。最新著は『これ、いったいどうやったら売れるんですか? 身近な疑問からはじめるマーケティング』(SB新書)

・問い合わせ先:永井孝尚オフィシャルサイト

Twitter:@takahisanagai

なぜ日本メーカーはルンバをつくれない?「ニーズの断捨離」で新しい常識と顧客を創造のページです。ビジネスジャーナルは、キャリア、, , , , , , , の最新ニュースをビジネスパーソン向けにいち早くお届けします。ビジネスの本音に迫るならビジネスジャーナルへ!