消費者が企業活動に抱く疑問を考察するサイト ビジネスジャーナル ⁄ Business Journal
同じような例は多い。英ダイソンの羽根のない扇風機は、「扇風機は羽根に注意」という常識に挑戦し、「羽根なし」の扇風機をつくり、安全重視の人が使っている。最近、蘭フィリップスは家庭用自動製麺機を開発・販売している。日本人のほとんどは週に1回以上麺を食べるが、麺を自宅でつくる人はほとんどいない。そこでフィリップスは「消費者が気づかない潜在ニーズは大きい」と考え、「麺は買うもの」という常識に挑戦し、「麺は自宅でつくる」という新しい常識を掲げ、市場創造に挑戦している。
古くは日本の家電メーカーの事例もある。真空管ラジオ全盛の1950年代に、ソニーはトランジスタラジオを開発。それまでの「ラジオは自宅の居間で聞く」という常識に挑戦し、「野外で聞く」という新しい常識をつくり、若者リスナーを生み出した。
このように「ニーズの断捨離」は、常識に挑戦し、顧客を創造する。「新しい顧客を創造する」ことは、すなわちイノベーションそのものだ。現代のイノベーションは、「ニーズの断捨離」が生み出すのだ。それは顧客の言いなりにならず、顧客の課題・ニーズ・ウォンツ(要求)を先取りする「顧客中心主義」が実現するのだ。
本連載では、マーケティングやビジネススキルについて、さまざまな事例を深掘りしながら紹介していきたいと考えている。ぜひご意見・ご感想などをいただければ幸いである。
(文=永井孝尚/オフィス永井代表)
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