新刊JPではこれまで多くのビジネス書をピックアップしてきたが、そもそも「ビジネス書はあまり得意ではない」「ビジネス書を読むと頭が痛くなる」というビジネスパーソンも多いはずだ。
ビジネス書には、その著者の成功談、失敗談含めてさまざまな知識や情報が詰め込まれていて、仕事においての大きな学びになる。それを自分の日常生活や仕事に活かすことができれば、きっと人生はより善くなるはずだ。
Podcast番組「新刊ラジオ」のパーソナリティとして、1700冊以上の本を声で紹介してきたブックナビゲーターの矢島雅弘さんは、「ビジネス書が苦手」「もっとビジネス書を読みたいけど、難しくて…」という悩める読者たちに向け、本と対話をしながら読み進めていく「エモーショナル・リーディング」という読書術を提唱している。
■本は「著者の分身」、読書は「著者との対話」
「エモーショナル・リーディング」は、いうなれば「本を楽しむための読書法」だ。
ビジネス書を「仕事で必要だから」と受動的な態度で読んでいる人もいるだろう。しかし、「“読まされている”読書」をしていると、どうして本を読むこと自体がつまらなくなってしまう。
初めての著書となる『一冊からもっと学べる エモーショナル・リーディングのすすめ』(ディスカヴァー・トゥエンティワン/刊)で矢島さんは、次のように述べる。
世の中には読書を続けられる人と、読書が続かない人、苦手意識からなかなか本を手にとらない人がいます。この差は一体どこからくるのか?
・・・
理由はもっともシンプルです。
その人にとって読書が楽しいか、楽しくないか。これに尽きると思います。
(3ページより引用)
そして、「楽しい読書」をするために、次のような処方箋を出すのだ。
「著者との対話」と「感情」を意識すると、様々なことを考えたり想像したりしながら読書をすることになります。つまり、受け身一方の読書ではなく、本から受けた刺激によって自ら考える読書ができるようになるのです。
(4ページから引用)
また、もう一つ「エモーショナル・リーディング」には大事な要素がある。
それは「肯定的な感情をもって本と向き合う」ということだ。
矢島さんは、本は「著者の分身」であり、読書は「著者との対話」だと述べる。これはブックナビゲーターとして本を紹介するだけではなく、様々な著者へ行ってきたインタビューの中で積み重ねてきた経験に紐づく指摘だろう。
著者が目の前にいるのに、話の受け手である自分が無感情であったり、ネガティブな感情を持っていたりしていれば、それは相手に対して不遜な態度をとっていることになる。
本に込められているのは、その著者が自分に伝えたいメッセージだ。
本を読むことが苦手でも、著者と対話をするように本を読む、相手とじっくりコミュニケーションすると考えれば、楽しくなるのではないだろうか。
■エモーショナルにアウトプットをしよう
読書はインプットだけではなく、アウトプットも大事だ。
ビジネス書のアウトプットの場合、普通はその本に書かれていることを実践するという形で行うものだが、本書で書かれているアウトプットの方法は少し違う。別の誰かに本を紹介し、その本を読んでもらうような行動をする。これも「新刊ラジオ」のパーソナリティである矢島さんらしい発想だ。
重要なことは、本の内容よりも、本を読んだ自分自身の体験を語ること。「自分にとってどんな本だったのか」「どこに感情が揺さぶられたのか」という主観的な視点で、相手に伝えるのだ。
「この本、すごい泣けるよ」「このライフハック、今まで考えたことなかった。すごく便利そう!」など、自分がどう思ったのかということを軸に考えると、本の魅力を見つけやすい。それは世間一般の評価や感想と違ってもいいだろう。自分だけの読書体験をアウトプットすることが大事なのだ。