会社員にとって、上司や部下をはじめとする社内での人間関係は、時として自身の仕事の成否や出世、そして会社生活を大きく左右するファクターといえる。それゆえ、大きな悩みの種になるケースも数多いが、そんな時に役立つのが「社内政治」である。社内政治と聞くとネガティブな印象を受けがちだが、より適切なテクニックを身に着け、社内でより良好な人間関係を築くことでストレスのない会社生活を送れるばかりか、仕事のパフォーマンスを上げることができる。
そこで今回は、リクルート時代には営業職として6年間連続トップセールスに輝き、現在は人事戦略コンサルティング会社セレブレイン代表取締役を務め、昨年10月には『「課長」から始める 社内政治の教科書』(ダイヤモンド社)を上梓した高城幸司氏に、
「社内政治の極意と具体的なテクニック」
「企業内でよく出くわす人間関係にまつわるトラブルやその対処法」
「優秀な部下を自身の右腕にする方法」
などについて話を聞いた。
●優秀な人材でも悩む社内政治
――本書は社内ゴシップから社内派閥の問題まで幅広いテーマを扱っていますが、執筆に至った経緯を教えてください。
高城幸司(以下、高城) ひとつは仕事仲間や知人から「社内政治」について悩んだり困っているという意見を、少なからず耳にしたことです。例えば、これまで社外に出て優秀な成績を収めていても、社内役員との接し方に戸惑う場合や、社内派閥の板挟みに苦しんでいる、といった話でした。私も過去に幾度も直面してきた壁なので、本書を通じて、問題をより多く解決できればと思いました。
――本書タイトルの「課長」とは、ビジネスで結果を残し、管理職となった読者を想定しているということですね。
高城 そうですね。そして実は、連続テレビドラマの『半沢直樹』(TBS系)がきっかけでもあります。見応えのある素晴らしいドラマなのはご承知の通り。上司からの圧力を主人公が吹き飛ばしていく様子が痛快でしたね。社内政治が大きく絡んだ内容で、私も大変勉強になりました。
みなさん、職場では何かしら社内政治で悩みを抱えているでしょうから、理不尽なことを押し付けてくる人物を、主人公の半沢直樹のように打ち負かしたいという気持ちがあるのかもしれません。だけど、それがなかなかできない。そんなジレンマを、みなさん抱えているのではないか。だからこそ『半沢直樹』はあれだけ多くの人々を惹きつけた。私はドラマを見ながら、そんなことを想像しました。もしそうであれば、誰にでもできる方法で、理不尽な状況を改善していく社内政治のノウハウを自分なりに整理して発表すれば意味があるのではないかと考えたのです。