●ロビー活動の重要性
――それでは、社内政治を駆使して、出世や成功を勝ち取るためには、どうすればいいのでしょうか?
高城 ポイントで言うと、仕事上でのロビー活動が挙げられます。ロビー活動とは、個人や団体の活動が政治に影響を及ぼすという言葉ですが、もちろん社内政治においても重要なこと。自らの思いや情熱を伝え、共感してくれる人を増やすのは、目指す仕事や狙っていたポストに近づく上で大切なことです。
例えば、自分の部下だとしても、他人のことに高い関心を持てないのが上司として正直なところでしょう。また、部下も上司と会話するときは「私なんてまだまだ勉強不足ですよ」とへりくだってしまい、本当の意見をなかなか言わないですよね。これでは賛同云々よりも前にお互いの本当の意思疎通が図れていないし、上司も部下も目的達成に遠回りをしていることになるのです。
――日本の社会ではへりくだることが美徳と捉えられ、腰の低いタイプの人が多いですよね。
高城 へりくだってもいいのですが、そのあとに一言付け加えることが肝心です。例えば「半人前ですが、5年ほどで力を付けて新規事業を立ち上げてみたいです」や「今の私にできないことは承知の上ですが、将来的には若手育成のため人事部で働いてみたいです」など、周囲の人間に対して何をやりたいと思っているのか、どんな仕事で結果を残していきたいのか、さりげなく自己目標を掲げることです。また上司も部下の本音を聞けることで安心し、目標に近い仕事を渡してくれるはず。これが社内政治の第一歩ではないでしょうか。
――では、社内政治におけるタブー事項があればお聞かせください。
高城 自ら“社内敵”をつくってしまうことです。目標とするポジションやプロジェクトに手が届きそうなとき、敵対者からのネガティブな意見で話が振り出しに戻る事態はままあること。おそらくは誰しもが社内で敵や反目者をつくろうと思って行動してはいないでしょうが、実は些細なことで人は反感を覚えてしまいがちです。
――高城さんも、それで過去に何度も苦渋を味わったご経験があるとか。
高城 おかげさまで、今では大きな糧となっています。よくあるケースは、上役と深いコミュニケーションを図ろうとしても、一方で「○○さんは“上”に対しては一生懸命に接するけど、部下や派遣には冷たい」など、その気がなくても勘違いされてしまう場合です。特に立場の弱い人ほど、冷たくされると傷つくもの。「君らしい仕事に期待しているよ」と一声かけておくだけでも、対応策として効果はあるでしょう。特に人間はそれなりの年齢や立場になると、能力の低い部下や受け入れがたい人間性を否定し、また攻撃してしまいがちです。社内政治力を高めるには注意すべき点ですね。