●部下との接し方
――後輩や下のスタッフに対して、本書の中でも「すべての部下を公平にえこひいきする」というポイントを書かれていますね。
高城 はい。ただし「分け隔てなく付き合う」ことと混同していけません、それでは八方美人のレッテルを貼られかねない。求心力のある管理職の共通点は「部下をよく知っている」ということ。それを象徴するかのように、若手の話を聞ける上司は今でも人気です。
――部下に対するテクニックとして「お酒の席で腹を割る」ということは、今の風潮でも通用するのでしょうか?
高城 私は前提として、上司の「もてなす気持ち」が重要だと思います。経験上ですが「飲みに行きたくない」と思っている部下は少ないはず。ただ、連れて行かれるのがまずくて小汚い居酒屋で、しかも上司の武勇伝を延々と聞かされるような席ならば現代ではNG。飲みニケーションの理想は、話の割合として「部下6:上司4」で、部下にどんどん話してもらうこと。そして、目標ややりがいを理解してあげることです。ともすれば、優秀な右腕に育ち、自分の成功を手助けしてくれる存在となるでしょう。ちなみに部下への接し方については、本書でも重要項目として大きくページを割いています。
――最後に、これから社内政治に参加する読者に向けて、アドバイスをいただけますか?
高城 まずは、社内でやりたいことや目標を見つけることが肝心です。会社の中での使命は何か、自らにとっての大義とは何か、それを達成するための社内政治であってほしいと思います。
気をつけるべき点は、肩書や世間の目を気にした、漠然としたモチベーションで進まないことです。これでは、本当の使命感や野望を抱えた人間に、いずれ負けてしまうでしょう。人と会社はロジックだけで成り立ってはおらず、論理やセオリーを嫌う人もごまんといます。そんな手ごわい相手に直面したとき本書をめくっていただければ、何かしら発見があるのかなと思います。社内政治を食わず嫌いで避けるのではなく、自らのゴールテープを切る手段として行使していただきたいですね。
(構成=東賢志/A4studio)
●高城幸司(たかぎこうじ) 1964年生まれ。同志社大学文学部卒業。人事戦略コンサルティング会社セレブレイン代表取締役。大学卒業後リクルートに入社、営業職として6年間連続トップセールスに輝き、創業以来歴史に残る「伝説のトップセールスマン」として社内外から注目される。そのセールス手法をまとめた『営業マンは心理学者!』(PHP研究所)は10万部を超えるベストセラーに。そのほか『上司につける薬!』(講談社)、『仕事の9割は世間話』(日経プレミアシリーズ)など著書多数。ダイヤモンド・オンラインの連載『イマドキ職場のギャップ解消法』は、常に高いPV数を記録している。食に対しても関心が高く、ソムリエや焼酎アドバイザーなどの資格を取得し、関連会社ではフレンスレストランやワインの輸入商社も経営している。