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パルコ株を売らないイオンの狙いは本体・J.フロント

イオンモールに、都市型パルコが進出する可能性が浮上

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PARCO池袋本店(「wikipedia」より)
百貨店の大丸と松坂屋を運営するJ.フロントリテイリング(J.フロント)は8月21日、ファッションビルを手掛けるパルコ株式の公開買い付け(TOB)で、発行済み株式の64.97%(議決権ベース)を取得したと発表した。買い付け予定数の約3852万株に対して4550万株超の応募があり超過分は買い付けなかった。買い付け価格は1株1100円で取得額はおよそ423億円。J.フロントはパルコを8月27日付で連結子会社にする。これによりパルコは上場を維持する。パルコ株を18.71%保有する日本政策投資銀行(政投銀)はTOBに応じたが、8.15%を持つ流通大手のイオンは応じなかった。イオンの持ち株比率は今回のTOBなどで12%台から8%台に落ちた。

 2010年1月から始まったパルコの争奪戦は最後に登場したJ.フロントが漁夫の利を得る形で決着した。しかし、TOBに応じず、「パルコとの業務提携の在り方を引き続き模索中」とするイオンの狙いはどこにあるのか。

 パルコは1969年、西武流通グループ(のちのセゾングループ)の傘下でスタートを切り、若者文化の発信基地として成功を収めた。だが、バブル崩壊で、1兆円を超える借入金を抱えたセゾングループは解体。資金難に陥ったパルコは01年2月、第三者割当増資を実施、森トラストが筆頭株主となった。

 森トラストとパルコの間に亀裂が生じたのは10年1月。森トラストがパルコに第三者割当増資による買い増しを提案。出資比率を49%程度に引き上げようとした。森トラストに乗っ取られると脅威を感じたパルコの経営陣は、この提案を拒否した。

 反撃に転じたパルコは同年8月、政投銀と資本・業務提携し、政投銀を引受先とする150億円の新株予約権付社債(転換社債=CB)を発行した。CBが株式に転換されれば政投銀は18.71%のパルコ株式を保有する第2位の株主になる。一方、森トラストの保有比率は33.26%から27.03%に低下。株主総会で会社側の提案に拒否権を行使できる3分の1を下回る。パルコは森トラストによる経営の事実上の支配を阻止するために政投銀に駆け込んだのである。

 森トラストとパルコの対立が膠着状態に陥るなか、イオンは11年2月、パルコの発行済み株式の12.31%を米投資ファンドから約85億円で取得。森トラストに次ぐ第2位の株主に躍り出た。郊外型ショッピングセンターを運営するイオンは都心型ファッションビルのパルコと提携することで、都心進出の拠点作りを狙った。

 2011年の株主総会を前に、パルコの経営陣の刷新を求めるイオンの提案に森トラストが同調。両社合計で約45%の株式を保有するイオン・森トラスト側の提案が株主総会で成立する可能性が高まった。だが、土壇場で「森トラストの腰が引けた」(関係者)。2011年4月20日、イオン・森トラストとパルコは社長の更迭を含む妥協案で折り合い、イオンとの業務提携に向け検討することになった。