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10月31日の会見で津賀氏は「経営計画をしっかり立てて最善を尽くしたが、事態は(さらに)悪化した」と述べ、解決の突破口がないことをはっきりと認めた。これといった看板商品がなく、グローバル市場で存在感を失ったパナソニックは、シャープと同じ茨の道をたどることになる。この指摘は、今後、かなり重要な意味を持つと思う。
意地悪で書くのではない。エレクトロニクス業界で長らく、松下は「まねした電器」と揶揄されてきた。例えば家庭用のパン製造機。中堅のA社が出して、売れ行きが良かったとなると、松下は追随し、あっという間にトップメーカーになった。オリジナルな商品を作るのではなく、常に2番手につけて、圧倒的な国内の販売力(ナショナルチェーンもあった)で、ゴール寸前で抜き去るというのが松下の典型的な経営手法だった。本来、ここには、対症療法的なノウハウしかない。
米アップルのiPad、iPod、iPhoneに代表されるように、オリジナリティにあふれたオンリーワンの製品でなければ、世界では通用しなくなっている。「まねした電器」をやめましたと宣言し、一歩一歩はい上がっていくしか、生き残る道はない。パナソニックの再建は、ローマと同じで一日にしてならないのだ。
一つ突破口があるとすれば、住宅(旧松下電工とパナホーム)だろう。エコ住宅などにグループの総力を挙げて取り組む姿勢が欲しい。パナホームは大和ハウス工業、積水ハウスに比べて営業力、展開力で決定的に劣っている。
それから「白物家電で稼ぎます」などと言わないことだ。業績の下支えにはなるが、図体の大きいパナソニック全体を白物家電が担ぐなどと言いだしたから、それこそマンガみたいな展開になった。
このマンガ的構図にさえ、余裕を失った経営陣は気付いていない。だから日経産業新聞をはじめとする、ヨイショ専門の業界紙に「パナソニック、白物家電に注力」といった記事が、いまだに載るのである。テレビのCMもスマート家電(白物)オンリーだ。こうした情報をしばらく発信しない、トップの決意も重要だ。「沈黙は金」である。
(文=編集部)
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