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シリアルアントレプレナー・小川浩「Into The Real vol.11」

ピンタレストetc.画像共有SNS成功のカギはグリーに学べ?

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サイト「Pinterest」より
 現在のソーシャル × モバイル化へと続くWeb2.0時代の到来をいち早く提言、IT業界のみならず、多くのビジネスパーソンの支持を集めているシリアルアントレプレナー・小川浩氏。そんな“ヴィジョナリー”小川氏が、IT、ベンチャー、そしてビジネスの“Real”をお届けする。

 読者の方は、僕が現在画像中心のソーシャルネットワークサービスの開発に注力していることを、すでにご存じだろう。画像はソーシャルメディア全体のトラフィックの70%の起点となるキラーコンテンツであり、Facebook上では毎日3億枚の写真が投稿されている。

 140文字のテキストだけを共有するサービスであったはずのTwitterも、いまや画像の保有を自社で行い、一時は蜜月関係だったInstagramと最近ではひどく仲違いをしている。Pinterestのトンマナをうまく盗み、ECに取り入れることでブレイクしたFab.comは、1日100万ドルの売上を達成するほどに成長してきた。つまり、現在において画像をフックとしたトラフィックエンジンを開発することは、非常に理にかなった手法なのである。

 ちなみにトラフィックエンジンとは、オンラインかオフラインかに関わらず、自分や自分たちの製品・サービスに対する関心をつくり上げ、それを自分が求める形に集約すること、およびそのための方法を指す。Webビジネスを行うのであれば、自社のWebサイトへいかにアクセスを集めるかということだし、店舗であれば集客を行うための告知や広告などを含むさまざまな施策を指す。

 また、そのトラフィックを換金するための手段を、マネタイズエンジンと呼ぶ。このトラフィックエンジンとマネタイズエンジンの組み合わせこそが、ビジネスそのものだ。

●グリーの収益性が高い理由

 例えば、GREEは無料のソーシャルゲームをモバイル上で消費者に提供することにより、巨大なトラフィックを得ている。そしてそのトラフィックを広告ではなく、アバターやカードなどのデジタルアイテムの販売によって換金化している。少数のコアユーザーが熱狂的にお金をつぎ込むことで、すさまじい収益を上げることに成功しているわけだ。
つまり無料のソーシャルゲームがトラフィックエンジンであり、ゲーム上でのアイテム課金がマネタイズエンジンである。トラフィックエンジンとマネタイズエンジンが直結していることで、収益性の高いビジネスモデルになっている。

 画像をフックにしたサイトをつくるということは、トラフィックエンジンをつくるということである。Pinterestは美しい写真を集めて、それをできるだけ見やすく配列し、さらに再掲載を促す仕組みをうまくつくっている。Instagramは、画像を加工するシンプルなUIを持つアプリを配ることで、画像をオフラインからオンラインにアップロードするゲートウェイとしての地位を獲得した後、今度はそれを閲覧する場、すなわちPinterestの地位を得ようとしている。

●マネタイズエンジンという課題

 PinterestもInstagramも、現状ではトラフィックエンジンとしてのサービスにとどまり、マネタイズエンジンの組み立てがうまくいっていない。ネットサービスにおけるマネタイズエンジンは基本的に広告かECなどの課金サービスだが、Pinterestはアップロードされている画像の著作権が担保されておらず、広告モデルにした瞬間に各方面からの訴訟を食らうリスクがあるので、何かほかの方法を考えねばならないだろう。

 その点Instagramはユーザーがスマートフォンで撮影した写真が中心なので、広告モデルも展開できないことはないし、画像の集積場としてのストレージビジネスができるかもしれない。どちらも難しそうだが、Pinterestと比較すれば可能性は高そうだ。この両者を尻目に大きな収益を上げ始めたFab.comは、最初からマネタイズエンジンを設定してからトラフィックエンジンをつくり上げたことで、うまく時流にも乗れたし商流を掴むことができたと言えるだろう。つまり、トラフィックエンジンとマネタイズエンジンは、なるべく同時につくりあげ、そして直結させることを心がけるべきなのである。