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三菱自動車がヘッドハントした「広報・渉外のプロ」に囁かれる反社勢力との関係

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三菱自動車工業本社
(「Wikipedia」より)
 三菱自動車工業の経営が、品質問題で再び揺れている。軽自動車のエンジンオイル漏れで累計176万台のリコールを行ったものの、リコールの実施に消極的だったことを理由に、2012年12月、国土交通省が立ち入り調査を行った。この問題がまだ解決しないままの状態の中で、3月末にはプラグインハイブリッド車「アウトランダーPHEV」のリチウムイオン電池が出荷前に発火する事故を起こした。自動車業界からは「この会社には品質管理という概念がない」という批判も出始めている。

 度重なる品質問題以上に呆れ顔で見られているのが、同社の3月1日付人事だ。広報・渉外の専門家という触れ込みで第一三共からヘッドハントした吉田雄三氏が入社し、経営企画本部副本部長兼広報部上級エキスパートの重職に、いきなり就任したのだ。吉田氏は早稲田大学ラグビー部出身で、大学時代から全日本入りしていたほどの逸材。前身の三共入社後は、持ち前のバイタリティーで広報・渉外のプロとして頭角を現した。許認可に影響される製薬メーカーだけに、特に永田町や霞が関に太い人脈を築いたとされる。

 しかし、今回の人事が業界内で呆れられていると言ったのには理由がある。「吉田氏は広報・渉外のプロであると同時に、総会屋、暴力団、こわもて情報誌対策の専門家としても知られた存在」(大手紙記者)だったからだ。

 このブログは、某暴力団関係者が書いているといわれている。真偽はともかく、この中で、ヤクザと情報誌「選択」がつるんで、三共の内紛に介入し、インサイダーなどで甘い汁を吸ったことなどが告白されている。メディア関係者の多くが、これは事実であろう、と見ている。

 本人の意思ではなく、当時の上司の指示だったとはいえ、吉田氏もこの「内紛」に関与していたとされ、第一製薬と統合後は、第一製薬側から「危ない人材」と見なされて、閑職に左遷されていた。会社を追い出されなかったのは「恥部」「暗部」を知る人間として、クビにすれば過去の問題とはいえ、見苦しい情報が外部に流出する可能性があったからだ。

 閑職に長くいて吉田氏も腐り始め、新天地を求めていたという。吉田氏自身は、明るい性格で面倒見が良く、仕事もできる。過去の経緯については「三共の腐った上層部やそれを利用した『選択』に、いいように使われただけで、本人に『罪』はない」と見る向きも多い。そこに、三菱自動車から白羽の矢が立ったというわけだ。

 ところが、この暴排条例の時代に、こうした人物を採用する三菱自動車のコンプライアンス感覚に対して、経団連会長ポストを出す企業の広報幹部は「今どき信じられないヘッドハンティングだ」と呆れる。

 また、自動車業界関係者は三菱自動車が吉田氏を採用した理由について、次のように見ている。

「三菱自動車は、渉外活動に割く人も予算も少ないので、国土交通省とのパイプが細い。このため、同省から誤解を受けやすい傾向にある。今回の軽自動車のリコール対応でも監督官庁とのコミュニケーションが悪かったことも、事態を大きくさせた要因。そこで、霞が関人脈が豊富で、永田町にも強い吉田氏を採ったのでしょう」

 吉田氏は早速、リコール関連の記者会見を仕切り、主要なマスコミのデスククラスを夜の会合に誘い出してアプローチしている。「寝技広報」は、吉田氏の最も得意な分野だ。吉田氏も早く成果を出そうと、懸命に動いているようだ。事実上の広報部長の仕事もしている。

 ところが、この吉田氏のスタンドプレーに対して、同社広報部の一部はその存在を面白くないと思い始めている。なんの相談もなく吉田氏が頭越しに指示を出してくるからだ。吉田氏と広報部の間に、「暗闘」も起きているようだ。
(文=編集部)