見出し:意外と知らない「減塩」の落とし穴
高血圧や糖尿など、加齢につれて病気の心配は増えるばかり。
ただ、健康や長寿のためのエクササイズや食生活は数限りなくあるものの、「○○を食べなさい」「○○を絶ちなさい」「こんな運動をしなさい」といった極端なものが多く、中には「こんなこと一生続けるの?」と思ってしまうほど経済的にも手間ひまという点でも負担が大きいものもあります。
そもそも、普通に生活して、普通に歳をとり、普通に死ぬまでの間健康でいるために、そこまで特殊な生活習慣は必要ないはず。『こうして生きれば医者はいらない』(自由国民社/刊)は、そんな視点から、フリーライターである西田貴史さんが、膨大な量の取材と自身の経験の中から健康、長寿の人に共通する生活習慣をつづっています。
■生野菜はごはんに合わないから嫌、という人は…
健康・長寿のために、野菜を中心とした食生活をすること、特に生野菜を食べることの重要性は誰もがわかっているはずですが、生野菜は量がかさみ、何よりご飯に合わないという欠点があります。そう考えると、大量の生野菜を毎日食べることは日常生活のなかであまり現実的ではありません。
それならばチャンプルーのように炒めたり、煮込み料理やみそ汁にして、おいしいと思えるように調理してから食べるほうが得策だといえます。長い間、長寿日本一であり続けた昔の沖縄や、平均寿命の世界ランキングで上位を占める香港、マカオ、シンガポール、台湾など華人華僑地域の食文化には、生野菜を食べる習慣はほとんどなかったといいます。無理に生野菜を詰め込んだり、炭水化物を否定する必要はないと西田さんは報告します。
■意外に知らない「減塩」の落とし穴
塩分の摂りすぎは健康の大敵。ということで、塩分を抑えた「減塩味噌」を使って味噌汁を作っている人もいると思います。ただ、ここにはあまり知られていない落とし穴があるのです。
味噌の時点では塩分が少ない減塩味噌でも、味噌汁を作る時にたくさん使ってしまえば結果的に塩分を多く摂取することになります。つまり、具が少なく、スープの分量が多い味噌汁を作ってしまうと、減塩効果はあまり期待できないのです。
反対に具材をたっぷりと入れて、スープの分量を抑えた味噌汁を作る方が塩分量を減らすためには効率的です。野菜を多く摂ることにもつながるため、覚えておきたい知識ですね。
「ンブシー」と呼ばれる沖縄の伝統的な味噌煮料理をヒントに、野菜増しと減塩を同時にかなえる味噌汁の作り方と使い回し術も、本書では紹介されています。
■運動は下半身を重点的に
人間に限らずあらゆる動物は、脚の筋肉が衰えて自力歩行が難しくなると一気に弱ります。さらに「足は第2の心臓」といわれ、脚の筋肉がポンプの役割を果たすことで、全身の血流を司る大事な働きも担っています。いつまでも自分の体重を支えて自力歩行できるように、また脳の働きにも影響を与える血流の流れを保持するためにも、下半身を重点的に鍛えておくことは健康でありつづけるためのポイントです。
そのために中高年を中心にウォーキングが推奨されていますが、「鍛える」ということでいうと、歩くだけでは不十分。とはいえ、あまりに負荷のかかる運動は、途中で挫折してしまう可能性があります。
この問題を解決するために、西田さんはデスクワーク中に無意識化でできる簡単な筋トレや走りと歩行を繰り返すランニング、タイマーつき家電を使用したトレーニングなど、生活の中にすぐに組み込める運動方法を実践、紹介します。さらに趣味や遊びの中にトレーニング性を見出す楽しいメソッドも展開。
これなら下半身を鍛えつつ、負担にならない運動として続けられそうです。
いつまでも健康でいられるように、と一念発起して生活習慣を改善しようと思っても、あまり急激に変えると長続きしません。
本書には、無理なく続けられるものであることを前提とした健康、長寿への取り組みが実例を交えて紹介されていますので、体調が気になる人はさっそく自分の生活習慣を見直して、変えるべきところを変えてみてはいかがでしょうか。
(文=新刊JP編集部)
※本記事は、「新刊JP」より提供されたものです。
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