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「ダイヤモンド」vs.「東洋経済」! 経済誌双璧比べ読み(12月第1週)

セブン&アイとイオン、競争激化の裏側と、両社にくすぶる懸念~店舗とECの融合加速

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イオングループ本社とセブン&アイ本社(「Wikipedia」より)
 「週刊ダイヤモンド」(ダイヤモンド社/12月7日号)は『激烈! 流通最終決戦』という特集を組んでいる。「セブン&アイイオン、ローソンとファミリーマート、J.フロント リテイリングと三越伊勢丹……。これらの雌雄を決する戦いが続くと同時に、インターネット通販という新業態の参入企業が現れ、今まさに展開されている流通最終決戦の行方を追う」という内容だ。

 流通業界がITの進展で大きな転換期を迎えている。「ショールーミング」だ。「ショールーミング」とは、店頭で実物の商品を試した後、ECサイトでより安価な商品を探して購入する消費者の行動のこと。すでに米国では大きなトレンドになっており、スマホの普及で日本でも拡大傾向にある。

 当然ながら、ショールーム化することで売り上げがガタ落ちになる店舗販売型ビジネスモデルにとっては死活問題になりかねない。

 アパレル通販サイト「ゾゾタウン」を運営するスタートトゥデイが10月末から提供を始めたスマートフォン用アプリ「WEAR」のバーコードスキャン機能をめぐり、同社と一部の商業施設との間で対立が強まっている。この機能は、ユーザーが店舗で気になった商品を見つけた際、値札についているバーコードをスマホで読み取ると、その場でさまざまなコーディネート画像を見ることができ、店舗で購入しない場合でも、商品のブランドのECサイトや「ゾゾタウン」から購入できる。「WEAR」が普及すれば、店舗のショールーミング化が加速する可能性は高い。数日でダウンロード数は10万を超え、店舗販売型ビジネスモデルにとって脅威になりつつある。

●PB商品の売れ行きが好調のセブンとイオン

 一方、流通各社も「オムニチャネル」によって顧客接点を広げる動きを加速させている。

「オムニチャネル」とは、店舗とECサイトの継ぎ目をなくすことで、顧客とさまざまな接点(チャネル)を持ち、いつでもどこでも「買い物」を提供するという考え方のこと。「オムニ」とは「すべての」という意味だ。

 セブン&アイ・ホールディングスはコンビニエンスストアから百貨店までグループ全社で取り扱う約300万商品を、ネットで購入できるシステムを構築中。

 イオンでも12月20日以降、総合スーパー約500店で店内端末を利用し、店舗で取り扱っていない商品を自宅や店頭で受け取ることができるサービスを開始。将来はスマホで店外からも利用できるようにする、という。

 こうして販売側も販売機会のロスを減らすことになる。しかもセレクトショップ大手のユナイテッドアローズでは「(ネットと店舗の連携を高めた結果)ネット通販と店舗を併用している顧客では店舗での年間購入額が2.5倍に増えた」といい、店舗での売上の拡大にも寄与するというのだ(特集記事『Part1 ネット革命で業界騒乱』)。

 知っておきたい対決は、セブン&アイとイオンの最終決戦だ。セブン&アイ(2013年2月期の加盟店を含めたグループ売上高8兆5076億円)はPB(プライベートブランド)戦略が成功している。今年10月には高級アイスクリームで知られるハーゲンダッツがセブン-イレブンとの共同開発商品「ジャポネ」を発売し、食品・小売業界を震撼させた。セブン&アイのPB「セブンプレミアム」は、販売を開始した07年は380品目・売上高800億円だったが、13年2月期には1700品目・売上高4900億円と拡張している。

 一方、イオン(同期連結売上高5兆6853億円)のPB「トップバリュ」は13年2月で約6000品目・売上高6816億円だ。イオンリテール売上高でのPB比率は約20%となり、粗利益率アップに寄与しているのだ。

 両社にも不安材料がある。セブン&アイは総合スーパーのイトーヨーカ堂の既存店の低迷が続いている。自力回復のめどが立っているとは言いがたいのだ。

 一方のイオンも出店地域は全国に広がっているが、今後ますます高齢化が進み、市場規模が10%以上減少していく地域に多く出店しているのだ。巨大なショッピングモールの投資回収ができるのか。ミニスーパーの「まいばすけっと」を都市部で増やしているのは、この郊外地域での将来性の不安を抑えるためだ(特集記事『Part2 セブンvs.イオン 雌雄を決する時』)。

 今後のセブン&アイとイオンの競争の行方が気になるところである。
(文=松井克明/CFP)