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牛丼業界、加速する“脱牛丼依存”で低価格競争に終焉?高価格&スローフードへ舵切り

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「なか卯」の店舗(「Wikipedia」より/Kuha455405)
 ゼンショーホールディングス(HD)傘下の丼物・うどんチェーン「なか卯」は、2月12日で牛丼販売を終了した。なか卯は1974年から牛丼を扱っており、これまで主力商品だった。なか卯が2010年から展開していた「和風牛丼」の並盛りは290円。牛丼大手3社の値段(並盛)は吉野家、すき家、松屋が280円。低価格競争が激しい牛丼の安売り競争から離脱して、牛丼は同じゼンショーグループの「すき家」に一本化する。

 なか卯は牛丼以外の丼物やうどんに集中。牛丼に代わり、新たに「牛すき丼」を全店で売り出した。価格は並盛で350円とこれまでの牛丼より60円高く、高価格設定で収益力を高める。

 ゼンショーHDの14年3月期連結決算の売上高は、前期に比べて8.8%増の4544億円の見込みだが、本業の儲けを示す営業利益は83億円と同43.5%減の大幅減益となる。売り上げをけん引したのは回転ずし店「はま寿司」で、郊外のファミリー需要を取り込み大幅増収となった。一方、牛丼部門は既存店が不振で、業績の足を引っ張った。

 吉野家ホールディングス(HD)は昨年10月、14年2月期の連結業績予想を下方修正した。売上高は前年同期比4.5%増の1720億円だが、営業利益は同14.8%減の16億円になる見込みだとした。吉野家は昨春、牛丼並盛を同業他社と同じ280円に値下げしたが、集客の効果は持続せず、利益は減った。

 大手3社で唯一増益予想なのが松屋フーズだ。14年3月期の連結決算の売り上げ予想は同0.1%増の792億円、営業利益は同10.0%増の21億円を見込む。出店を抑制してコストを削減した効果で増益になったが、既存店の売り上げはやはりマイナスだ。

 牛丼チェーンは、これまでの低価格路線が通用しなくなった一方、円安で牛肉の輸入コストが上がり利益を圧迫。そこで、各社とも通常の牛丼以外で高めの商品を投入して収益アップを目指す。

●吉野家、高価格商品で業績回復

 なか卯が牛丼販売を中止して「牛すき丼」に切り替えたのには伏線がある。

 吉野家は2月6日、13年12月5日から全国で発売した新商品「牛すき鍋膳」「牛チゲ鍋膳」が発売開始から2カ月で累計700万食を突破したと発表した。「牛すき鍋膳」(並580円)は吉野家が現在販売している牛丼の源流といえる商品で、牛肉や野菜、豆腐などを甘口タレで煮込んだ料理で、「牛チゲ鍋膳」同様コンロに鍋をのせて出す、吉野家初の商品だ。ファストフードの代表である牛丼をメインとする吉野家が、気楽に鍋料理を楽しむという食事シーンを提供。通常の牛丼より300円も高いのに、家族連れなど幅広い層から支持されたという。

「牛すき鍋膳」の効果は数字にも表れた。牛丼3社の既存店売上高を比較してみよう。

【牛丼3社の既存店売上高の前年同月比伸長率】(単位:%)
 ※以下、社名、13年10月、同11月、同12月、14年1月
 ・吉野家、2.2、1.5、16.0、14.2
 ・すき家、-9.6、-0.6、-4.7、-1.0
 ・松屋、1.9、-1.2、0.0、-1.3

 吉野家は昨年4月に牛丼並盛を値下げした効果で、月次の既存店売上高はしばらく前年超えが続いてきた。だが、夏以降に値下げの効果が薄れ始め、9月には1.7%減と前年割れに落ち込んだ。それがスローフードの新製品を次々と打ち出したことで、再び前年を上回る水準にまで持ち直した。