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被災地の地場産業、なぜ回復遅れる?転職サイトと社団法人による異例の試み始まる

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会員制転職サイト「ビズリーチ」に掲載された、復興コーディネーター公募ページ
 東日本大震災の被災地においては、公共インフラや住宅に比べ、産業の復旧・復興が大きく遅れているといわれる。被災地の復興に取り組む一般社団法人・RCF復興支援チーム(東京都港区)代表理事の藤沢烈氏によれば、「復興庁の調査結果では、現在の売り上げ状況が、震災前の水準以上まで回復している、と回答した企業は36.6%。業種別に見ると偏りが大きい。」

 復興特需を受けた建設業は66.0%で最も割合が高く、次いで運送業の42.3%、卸小売・サービス業の30.6%と続く。最も低い業種は水産・食品加工業の14.0%だった。いわば地場産業の復興が遅れているのだ。

 水産業では水揚げが7割程度まで回復し、約8割の水産加工施設が業務を再開した。しかし、なぜ他の業種に比べて大きく遅れているのか。続けて、藤沢氏はこう説明する。

「風評被害はさほどの理由ではありません。復興が遅れている最大の理由は、販路開拓が進んでいないことです。また、もともと被災地の水産加工業の多くはスーパーなどのプライベート商品のOEM(相手先ブランド供給)に従事してきたので、収益性が低く、従業員の月給も14~15万円程度の方が少なくないのです」

●「復興コーディネーター」を公募

 加工施設の復旧までは行政の支援で実現できたが、販路を開拓し、収益性を高めるには民間企業の知見が不可欠である。それも、プロジェクトを統括できる管理職経験者のスキルが望ましい。そう判断したRCFは、会員制転職サイトのビズリーチと連携して「復興コーディネーター」(https://www.bizreach.jp/content/executive/tohoku/)の公募を開始した。

 募集は3人で、このうち2人は水産加工業の販路開拓と被災自治体への人材紹介を担当し、もう1人は新たな復興事業の創出を担当する。求人内容としては、企業の課長職以上の経験者で、5人以上の部下を統括した経験を持つこと。業種と職種は問わない。

「被災地の事業には、ステークホルダーが多いのです。国、自治体、地元企業、被災者などと折衝していくには、企業でのマネジメント経験が欠かせません。もちろん行政出身者を除外しているわけではありません。自分で問題を発見して、自分で考えて、自分で解決するという民間的なセンスのある方なら、行政出身者でも対象になり得ます」(藤沢氏)

 報酬は年俸400万円。収益を上げられれば500~600万円までの昇給は可能ではないかという。この求人内容から、50代以上で住宅費や教育費の心配から解放された上に、昇進・昇格と無縁になったビジネスパーソンにとっては、もう一花咲かせるチャンスかもしれない。しかしRCFが求めているのは30~40代である。その理由を藤沢氏は語る。

「20代では、課長に就任していてもマネジメント経験が乏しい。一方、柔軟性の必要な仕事なので、自分のスタイルを築いている50代以上にとっては、ややチャレンジングな仕事かもしれません。30~40代でキャリアチェンジを考えていて、復興コーディネーターへの就任をステップアップにしたい人たちに期待しています」

 採用後は被災地に赴任するのでなく、東京都港区のRCFに所属して被災地と往復するパターンになる。RCFへのビズリーチ経由の応募者数はすでに1,000名を超え、4月中には採用のメドをつける予定だ。応募者に対して3月18日に説明会を開いたが、120人の定員に対して200人の申し込みがあったため、あらためて説明会を開催する。

 復興事業はベンチャー企業の創業のようなもので、当然、使命感だけでは通用しない。自らビジョンを創り出して、現地スタッフの士気を高揚させ、スピード感をもって確固とした実績を上げ続ける。有為な人材が、被災地の復旧・復興に力を尽くすことを願いたい。
(文=編集部)