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闘うジャーナリスト・佐々木奎一がゆく! ワーキングクラスの被抑圧者たち 第19回

路上喫煙違反者、過料取り消し求め横浜市を提訴し勝訴、二審逆転、最高裁へ

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横浜駅西口の風景
 毎年5月31日は「世界禁煙デー」で、今年も同日から1週間を「禁煙週間」と銘打ち、全国各地で受動喫煙防止を中心とした禁煙推進の呼び掛けが行われた。そんな中、歩行喫煙にまつわる事件が東京高裁で争われていたことをご存じの人も多いだろう。今回は、この事件について詳しくお伝えする。

 一審判決文や原告陳述書などの裁判資料によると、事件の概要と原告の訴えは次のようなものだった。

 東京都の某市に住む原告の西島百舌夫氏(仮名)は、2012年1月28日13時半頃、横浜駅西口から500mほどの距離にある東急ハンズ横浜店沿いの道から、パルナード通りに入った。パルナード通りは、真ん中が6mほどの一方通行の車道、両脇に2~3mの歩道があり、横浜駅西口まで続く横浜のメインストリートの一つ。

 西島氏は、このパルナード通りの歩道を横浜駅方向に向かい、タバコを吸いながら10mほど歩いた。すると、すぐに横浜市の美化推進委員にタバコの火を消すよう指導され、条例違反であると告知された上、告知・弁明書にサインするよう求められた。西島氏はサインし、その場で処分され、過料2000円を支払った。

 横浜市は、07年9月に施行された「ポイ捨て・喫煙禁止条例」により、横浜駅周辺地区、みなとみらい21地区、関内地区など6地区を「喫煙禁止地区」に指定し、違反者には罰則として過料2000円を科しているのである。

 西島氏が違反を指摘された地点は、喫煙禁止地域に指定されているパルナード通りの一番端側だった。しかも、右折する前の通りには「この先路上喫煙禁止」といった注意書きなどはなく、通りに入ると路面に直径30cm程度の喫煙禁止マークや、対面の歩道上に「喫煙禁止地区 No Smoking Area 罰則(過料2000円)」との看板があったが、西島氏は自分のいた場所からは見えない位置だったと主張している。

 そのため、西島氏はこう主張している。「路上喫煙したことは事実であり、決して自慢できることではないことは私自身も十分に認識しております」としつつも、美化推進委員が喫煙について注意もせずに過料処分とした対応について、「『ぼったくりまがい』の取り締まり手法は恐喝と同じで、極めて悪質かつ特異な公権力の乱用事例である」と強く非難した。

●一審は横浜市と神奈川県に違法判決

 12年3月、西島氏は横浜市長に対し異議申立をしたが、同年6月に棄却決定。翌月、神奈川県知事に対し審査請求を求めたが、同年12月に棄却。13年6月27日、この歩行喫煙をめぐる横浜市と神奈川県の決定の取り消しを求め、横浜地裁に弁護士をつけず本人訴訟として提訴した。

 提訴に至った心境を西島氏は「誰かが戦いを挑まなければならないという使命感が大きい。それだけ横浜市の対応は、日本最大の政令指定都市とは思えないものでした」と述べ、「日本国憲法の基本理念である基本的人権を顧みない条例至上主義による行政運営が堂々と行われている」と指摘した。