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バイオベンチャーの先駆者、高まる資金繰り不安で綱渡り 新薬開発で誤算、時間との戦い

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「Thinkstock」より
 東証マザーズ市場に上場しているバイオベンチャーであるアンジェスMG(4563)が正念場を迎えている。2002年の株式上場以来赤字が継続し、開発資金を継続的に調達してきたものの、徐々に調達先が限られてきている。そこで、今年7月に既存株主割当での資金調達に踏み切ったのである。個人投資家の株式保有の多い同社が、個人投資家に頼らざるを得なくなったと見る向きが多い。しかし、その前途は多難だ。

 アンジェスは創薬ベンチャーのパイオニア的存在で、日本初の遺伝子治療薬「コラテジェン」の開発を行っている。同薬は虚血性疾患治療薬で、糖尿病などで下半身の血管が壊死して切断しなければならない患者に対し、血管を新生して治療しようとする薬。現在米国で臨床試験の最終段階に入るところである。

 実はコラテジェンはかつて、日本国内で臨床試験を順調にこなしていた。03年、07年には公募増資を実施し、開発資金も十分に得ていた。そして臨床試験を終え、08年に厚労省へ同薬の製造販売承認申請を行った。

 しかし、これが頓挫する。発売まであと一歩のところまでこぎ着けながら、臨床データの不足でこれを取り下げたのである。当時、これは当局からの事実上の申請突き返しだったと観測されている。ここで承認されていれば、同社を取り巻く経営環境は大きく変わっていたはずである。しかし、ここからが時間との戦いとなっている。

●不利な条件での増資

 資金調達では一般投資家から調達が可能な公募増資があり、それが困難になった場合に特定の投資家に引き受けてもらう第3者割当増資を行うのが一般的だ。アンジェスでは13年に技術者派遣の夢真ホールディングスなどを受け先とする第3者割当増資を実施して約4億円を調達、14年にも投資ファンドを受け先にやはり4億円の資金を得た。

 しかし、それでも足りずに今年7月にはライツ・イシューの発行を発表した。ライツ・イシューとは一種の株主割当増資であり、既存株主に一定価格で新株にお金を払い込んでもらうことで資金を調達する手段だ。しかも、アンジェスが発行するのはノンコミットメント型といわれるものだ。コミットメント型ならば、取り扱う証券会社が払い込みの権利を放棄した分に対して責任を持つが、ノンコミットメントでは失権分の資金は入ってこない。財務状況が悪く、コミットメント型を扱う証券会社が見つからなかったのが実情と見られる。

 アンジェス側では今回のファイナンスで約91億円を調達する計画で、コラテジェンの上市(販売開始)までの資金を調達できるとしている。しかし、大量失権となれば計画が狂う可能性がある。なお、権利行使状況は今年9月に2回に分けて公表されることになっている。また、仮に調達が成功しても、開発が頓挫すれば経営は窮地に追い込まれ、既存株主は共倒れになる危険がある。