ドコモを収益面で苦しめている要因は、同社が6月に開始した新料金プラン「カケホーダイ&パケあえる」だ。MNPによる大量の顧客流出を食い止めるため、KDDI及びソフトバンクモバイルに先駆けて導入した「通話完全定額+データ通信量シェア」の新料金プランは、同社にとって今年の目玉施策であり、旧料金プランを廃止して契約者にとって実質“唯一の選択肢”となっているため、契約数は943万件に達する。しかし、通話定額制によって従来の通話料金収入が大きく下がり、一方で他社への通話接続料金が収益性を圧迫したことで、契約者数増加によるパケット通信料金の増収とコンテンツ・サービスの加入者増による増収を飲み込む結果になってしまったのだ。
こうした大幅な減収減益が、契約者の満足度向上とトレードオフになっているのであれば、ドコモにとって新料金プランは価値のある施策だったといえる。しかし、実際のところ契約者の中には新料金プランに対して厳しい意見が少なくない。
●新料金プランに不満続出
実際に都内にある複数の家電量販店の店頭で、現在新料金プランを利用しているドコモユーザーに話を聞いてみた。
都内在住のAさん(男性・32歳)は、仕事で日常的に通話をする機会が多いといい、ドコモの通話完全定額には「毎月の通話料金が劇的に下がった」と好意的なコメントを語る一方、「ドコモの料金は高い。儲かっている会社なのだから、データ通信料金ももっと安くならないものか」とトータルでのランニングコストが高い状況に不満を漏らしていた。
一方で、通話をあまりしないユーザーにとって、月額2700円のカケホーダイの基本料金は大きな不満になっているようで、千葉県在住のBさん(女性・26歳)は、「iPhone6に機種変更する際に、強制的に新料金プランに切り替えさせられてしまった。友人とはLINEでやりとりすることが多く、通話することは少ないのに、以前よりも通話基本料金が大きく値上げされてしまったので、通話定額にはメリットを感じません」と語っていた。