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石油元売り業界、生き残り懸け熾烈な再編戦争 主役の出光とJX、東燃ゼネ争奪戦激化

文=編集部
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石油元売り業界、生き残り懸け熾烈な再編戦争 主役の出光とJX、東燃ゼネ争奪戦激化の画像1出光興産本社が所在する帝劇ビル(「Wikipedia」より/Wiiii)
 ガソリンの需要が低迷する石油元売り業界で、再編の動きが本格化してきた。国内2位の出光興産が同5位の昭和シェル石油買収に向けて交渉していることが明らかになった。出光は2015年度前半をメドにTOB(株式公開買い付け)を実施し、子会社化を目指す。TOBに際して2~3割のプレミアム(上乗せ分)をつけるとみられ、買収総額は5000億円規模になる見通し。昭和シェルの筆頭株主で株式の33.2%(14年9月末)を持つ英蘭ロイヤル・ダッチ・シェルはTOBに応じる意向だ。

 原油を精製し、石油製品として販売する石油元売り業界では、10年に新日本石油と新日鉱ホールディングスが経営統合しJXホールディングス(HD)が誕生。JXHDと出光興産、アブダビ政府が資本参加しているコスモ石油、エクソンモービル系の東燃ゼネラル石油、シェル傘下の昭和シェル石油の大手5社が中核を形成する。

 出光と昭和シェルの15年3月期の連結売上高見通しの合算は8兆200億円だが、実際はこれを下回る。JXHDは同11兆7200億円で、1000億円の経常赤字に転落すると報じられ、同期の売り上げは11兆円前後になるとみられているが、それでも差は大きい。ただ、ガソリンの販売シェアは「出光」「Shell」ブランドの合計で30%と、最大手の「ENEOS(エネオス)」ブランドでガソリンスタンドを展開するJXHD傘下のJX日鉱日石エネルギー(シェア31%)に迫る勢いだ。

 出光と昭和シェルが大型再編に動きだした背景には、国内石油産業の先行きへの強い危機感がある。ガソリンなど燃料油の国内需要は最盛期の1995年に比べ20%超減少した。中長期的には、さらに2~3割の需要減が見込まれている。両社は系列のガソリンスタンドについて重複する部分の統廃合を進める。製油所で生産する石油製品の種類をすみ分けたりすることで収益力を高めたい考えだ。

●目覚めた出光

 今回の買収で業界を驚かせたのは、「眠れる巨人」といわれた出光が目覚めたことだ。創業者の出光佐三氏は、小説『海賊とよばれた男』(百田尚樹、講談社)のモデルとして知られ、53年5月、日本企業として初めて、石油を国有化したイランから原油を輸入した。佐三氏は自社の大型タンカー「日章丸」をイランに向かわせ、輸入を敢行した。戦後日本が連合国の統治下から離れ、独立国としての主権を取り戻してから、わずか1年後のことだった。日章丸のイラン原油の輸入ほど、敗戦と占領に打ちひしがれた日本人の心を奮い立たせたものはなかった。英国の海上封鎖網を突破し、国際石油資本の鼻をあかす快挙だった。

 出光は「出勤簿なし、定年・労働組合なし」の大家族経営で知られたが、この幕引きをしたのが、出光7代目社長の出光昭氏だった。生き残りを懸け、外部資本を受け入れ、株式上場を決断した。しかし、株式上場をめぐって出光一族は割れた。オーナーで当時会長だった出光昭介氏が株式公開に反対したからだ。昭介氏は佐三氏の長男で、出光の株式の4割を支配する唯一の個人株主だった。これに対して、出光の株式を1株も持たない昭氏を金融機関が後押しした。

BusinessJournal編集部

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