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小笠原泰『生き残るためには急速に変わらざるを得ない企業』

本流社長・V字回復パナソニック=勝ち組、傍流社長・不振深刻ソニー=負け組、は正しいか

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パナソニック本社(「Wikipedia」より/Pokarin)
 これまでの4回で本連載の前提となる文脈について論じたので、本稿から本連載の核心に入りたいと思う。まず、本稿では「周辺事業の人材をトップマネジメントに据えて外科手術を行う企業」「中心事業の若手を抜擢し内科手術を行う企業」の例として、ソニーパナソニックを取り上げたい。社風は大きく異なるが、両社ともこれまで日本を支えた大手電機メーカーであり、年間売り上げ規模も8兆円弱ということもあり、比較されることの多い企業である。

 両社のここ数年のパフォーマンスを見る限り、津賀一宏社長率いるパナソニックは事業のリストラクチュアリングが功を奏して業績がV字回復している。事実、津賀社長は2012年の社長就任以来、積極的な改革で旧体制と決別し、これまでの家電中心の業容を丸ごと変えてパナソニックをつくり直そうとしている。

 一方、ソニーはスマートフォン事業(ソニーモバイルコミュニケーションズ)の不振も足を引っ張り、2期連続赤字と業績は低迷している。ここにきて、平井一夫社長兼CEO(最高経営責任者)の退任の噂さえも聞かれる。

 普通に考えると、世界累計販売台数は1850万台を突破し2000万台を視野に入れているゲーム機「プレイステーション4」のヒット以外にこれといってマスコミの着目を集めていないので、「ソニーは負け組、パナソニックは勝ち組」という世間の捉え方はうなずけなくもない。しかし、一歩踏み込んで両社を見てみると、果たしてこの捉え方は正しいのだろうか。

 まず、社長の年齢的にみて、両社にとって共に若い経営者といえよう。12年に8代目(パナソニックに社名変更後としては2代目)の社長に就任した津賀社長は、1956年生まれで社長就任時点では55歳、先例主義が強いといわれているパナソニックとしては、異例の若さである。ちなみに前任・大坪文雄氏は社長就任時点で60歳、その前任の中村邦夫氏も同様である。例外的に、3代目社長の山下俊彦氏は同57歳であり、当時「山下跳び」といわれたが、異聞もあるがこれは創業者の松下幸之助氏の意向ゆえにできた人事といえよう。

 一方、津賀氏と同時期にソニー社長に就任した平井社長は、1960年生まれの51歳であり、世代的には概ね津賀氏と同世代に属するといえる。ちなみにソニーも1982年、在任中に死去した岩間和夫社長の後を継いだ大賀典雄社長は、就任時に52歳であった。これも創業者である盛田昭夫氏と井深大氏の協議の上での抜擢である。

●組織体制


 次に企業統治に関わる組織体制を比べてみたい。両社とも取締役会設置会社である。ソニーの取締役会の構成をみると、12人の取締役のうち、社外取締役が10人を占め、ソニーからは平井社長と吉田憲一郎EVP兼CFO(最高財務責任者)のみで、両名が代表執行役である。指名・監査・報酬の3委員会を設置する委員会設置会社なので、代表取締役の代わりとして代表執行役が置かれる。取締役会議長は、永山治中外製薬代表取締役会長兼最高経営責任者である(http://www.sony.co.jp/SonyInfo/News/Press/201406/14-061/)。