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森の奥の“変人”超優良世界的企業、米ファンドの標的に 秘密主義企業の致命的急所

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ファナック筑波支社(「Wikipedia」より/Miyuki Meinaka)
 ソニー、ソフトバンク、IHIの次はファナック――。2月10日、「物言う株主(アクティビストファンド)」として有名なサードポイントが、工作機械用NC(数値制御)装置世界首位ファナックの株式を取得したことが明らかになった。サードポイントが四半期ごとに投資家へ送付している運用報告書に記載されていたことを、米ウォールストリートジャーナルなどの米メディアが報じているが、どの程度の株数を取得したのかは不明である。

 サードポイントは米大富豪ダニエル・ローブ氏が2001年に立ち上げたファンドで、現在の運用資産総額は1兆円を超えるといわれる著名ファンドだ。米ヤフー、サザビーズ、ダウ・ケミカルなどに投資し、取締役を送り込んで企業価値向上に向けプレッシャーをかける、典型的なアクティビストファンドとして知られている。

 日本でもこれまでにソニーやソフトバンク、IHIの株式を取得しているが、基本的にサードポイント自身の名義で取得するのではなく、複数の外資系金融機関の証券管理口座名義で取得しているので、保有割合を大量保有報告書などの公表データから把握することはできない。このため、情報はサードポイントが投資家に送る報告書と、同社がメディアの取材に応じて回答した内容に限定される。ソニーの場合は、7%程度という保有割合の数値も、昨年秋に株式を売却して撤退したという事実も、サードポイントが投資家に送った報告書から判明した。

 アクティビストファンドは、取得した株式の発行企業には手厳しい。サードポイントから経営改善に関して何もコメントされていないのはソフトバンクくらいで、東京・豊洲に広大な不動産を所有するIHIについては、「不動産事業を分離すれば株主価値はさらに上がる」と要求しているとされ、ソニーにはエンタテインメント部門の分離と上場を要求し、ちょっとした騒ぎになったことは記憶に新しい。

●かなり「変わっている」企業


 そのサードポイントの新たな標的に選ばれたのがファナック。グローバル企業でありながらかなり変わっている企業で、本社は富士山の麓、山梨県南都留郡忍野村にある45万坪もの広大な敷地を有する「ファナックの森」の中にある。アクセスはひどく不便で、東京・新宿から山梨県・大月まで特急スーパーあずさで行き、富士急行に乗り換えて終点の富士山駅で降り、さらにそこからバスかタクシーで20分かかる。新宿からざっと3時間弱の行程だ。

 筆者は今から27年前の1988年にリース会社の営業担当者としてファナック本社を訪れたことがある。深閑とした森の中に突如黄色い建物が現れ、第一印象はまさに秘密基地。社員は管理部門の人も全員黄色い制服を着用していた。スーツではなく、建設現場の作業員が着ている作業服のようなものだ。筆者が訪れた頃はバブル前夜で、円高不況も去って世の中はだいぶ明るくなっていたが、この会社は節約モード全開。蛍光灯を間引きしていたので廊下は昼間でも薄暗く、社内はひっそりとしていた。