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町田徹「見たくない日本的現実」

ANAのスカイマーク支援に重大な懸念 羽田枠でシェア突出、早くも運賃値上げの兆候

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ANAの航空機(「Wikipedia」より/Kentaro Iemoto)
 実質破たんした国内3位の航空会社スカイマーク再建の舵取り役の座をめぐって、ドタバタ劇が続いている。

 中でも一番の話題は、ANAホールディングス(HD)の変節だ。いったんは提携交渉を時間切れにし、スカイマーク破たんの直接の引き金を引いたかたちにもかかわらず、ここへきて再び出資を含む再建のスポンサー役に名乗りをあげ、下馬評では最有力候補とされている。背景には、袂をわかったエアアジア(マレーシアの格安航空会社)が、日本再上陸を目指してスカイマークに食指を伸ばしてきたことがあるらしい。放っておけば転がり込んでくると高をくくっていた羽田空港発着枠というドル箱の行方に暗雲が漂い始めて、いても立ってもいられなくなったというのである。

 しかし、すでにANAグループは羽田空港発着枠の過半数を抑えている。これ以上のシェア拡大は、日本の空の健全な競争環境を害して消費者の利益を損なう懸念が大きい。我々は、起ころうとしていることの本質を見極める目を養い、声をあげていく必要がありそうだ。

 スカイマークは先月2月中に、同社の再建を支援するスポンサー企業の募集を締め切った。新聞やテレビの報道を総合すると、このスポンサーに旅行業エイチ・アイ・エス、航空機リースを営むオリックス、大和証券グループの投資会社、新生銀行、日本交通、福山通運など20社近い一般企業のほか、全日空を傘下に持つANA HDと日本国内への再参入を伺うマレーシアのエアアジアの航空2社が名乗りをあげた。

 スポンサー企業には、投資、融資の両面からの資金支援だけでなく、営業面を中心にしたさまざまなサポートが期待されている。中でも重要なのが航空会社だ。弱体化が目立つ集客力を回復して売り上げを確保するためのコードシェア(共同運航)や、低コストでの機体整備などの支援が、スカイマーク再建には不可欠だからである。

 そこで、名乗りをあげた航空2社に限ると、関係者の間には「両社とも選定される」という声もなくはないが、大方が「ANA HDが圧倒的に優位」とみている状況だ。エアアジアがLCC(格安航空会社)であり、国土交通省が羽田空港の発着枠をLCCに与えない方針を採ってきたことが、その理由である。

 しかし、国交省がスカイマークに対し、日本航空(JAL)による単独支援に待ったをかけた昨年末に続き、今回もANA HDを再建のパートナーとするようゴリ押しするならば、忌々しきことと言わざるを得ない。

●すでにドル箱の過半数を抑えるANAグループ


 ここでみておきたいのが、次に掲げたリストである。年間20~30億円を稼ぎ出すといわれる、羽田空港の国内線発着枠の航空各社保有数(1日当たり)を記したものだ。

 ・日本航空 184.5便(シェア39.7%)
 ・全日本空輸 173.5便(同37.3%)
 ・エア・ドゥ 23便(同4.9%)
 ・ソラシドエア(スカイネットアジア航空) 25便(同5.4%)
 ・スターフライヤー 23便(同4.9%)
 ・スカイマーク 36便(同7.7%)