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山田修「展望! ビジネス戦略」

GE、非常識&卓越した「選択と集中」断行 一度も赤字を出していない事業を大幅縮小

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『ジェフ・イメルト GEの変わりつづける経営』(デビッド マギー/英治出版)
 米ゼネラル・エレクトリック(GE)は4月10日、不動産などの資産を売却すると発表した。約265億ドル(約3兆1800億円)規模の不動産や関連金融資産を売却する。売却する不動産はオフィスビルなど多岐にわたり、金融子会社GEキャピタルの事業縮小の一環とされる。ジェフ・イメルト会長兼CEO(最高経営責任者)は「(今回の不動産売却は)GEの競争優位性を高めるうえで大きな一歩となる。産業分野の成長戦略に一致するものだ」と述べた。すでに2016年までに営業利益に占める金融事業の比率を25%(14年は40%強)まで下げる方針を掲げていたが、新たに18年までに10%以下へ縮小させる目標を明らかにした。

 株式市場はこの発表を好感し、発表があった10日、GEの株価は前日比10.8%高の28.51ドルへと急騰した。イメルト会長の経営方針に対する信頼感は強く、17日に発表された15年1~3月期決算で、最終損益が135億7300万ドル(約1兆6000億円)の赤字となったにもかかわらず、株価は動揺を見せなかった。この同期赤字の要因としては、GEキャピタルの、主に不動産関連事業を縮小したことが響いた。不動産評価損などを約160億ドルを計上した。

 イメルト会長が金融事業を縮小する方針に転換したのは、08年のリーマンショックによる金融危機が契機とされる。それまで米スタンダード&プアーズ信用格付けにおいてGEは最高格付けAAAだったのが、GEキャピタルが保有していた金融資産などの評価により、AAへとグレード・ダウンしてしまった。格下げにより、目指していたM&Aなどの資金手当計画が狂い、戦略遂行に遅滞が生じたという。収益性は高いものの業績変動リスクの大きい金融部門は縮小しようということで、今後手がける金融業務は本業の産業機器の販促を支援するリースや融資機能などに絞るという。

 『本当に使える戦略の立て方 5つのステップ』(山田修/ぱる出版)
 昨年1~3月期決算は29億9900万ドルの黒字だったものを、今期は大きな赤字を計上してまで方針転換する格好となり、イメルト会長乾坤一擲の戦略的判断である。前任のジャック・ウェルチ氏から受け継いだ「選択と集中」戦略という伝家の宝刀を抜いた格好だ。

最も困難な道


 しかし、果たして結果は吉と出るか。GEキャピタルがGE全体の営業利益に占める割合が、07年の57%から18年にわずか10%になる。それだけ縮小する利益を、インフラ事業とサービス事業だけで新たに埋めることは易しくはないだろう。

 GEのような世界最先端をいく製造業では、最高の開発陣を揃えて最先端の技術を生み出し、高価な機械設備を揃え、最も効率の良い生産方法を編み出そうとする。世界シェア1位か2位になる可能性がある事業しか手がけないという、ウェルチ氏が定めた同社の方針は素晴らしいが、それだけでは最も困難な道を選ぶことにもなる。