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山田修「展望! ビジネス戦略」

GE、非常識&卓越した「選択と集中」断行 一度も赤字を出していない事業を大幅縮小

文=山田修/経営コンサルタント、MBA経営代表取締役
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 一般的に、製造業より金融業のほうが利益を生み出すことは容易だ。その理由は、使用・動員する資産の大部分が資金だけという事業構造にある。イメルト会長は「金融事業は業績変動リスクが高い」と判断したが、実はGEキャピタルはこの10年間で一度も赤字を計上していない。リーマンショックの08年でさえ80億ドルもの利益を計上している、GEにとっての金城湯池の部門なのだ。

 さらに金融事業は、そこから得た利益を製造業における開発費や設備投資に回せるという旨味もある。20世紀最大の経営者といわれたジャック・ウェルチ氏がそんな金融事業の拡大に注力したのだが、同氏は次のように語っている。

「GEキャピタルに関しては、壮大な戦略的ビジョンを掲げたことはない。ナンバーワン・ナンバーツーになる必要はなかった。(略)GEのバランスシートをGEの頭脳と組み合わせ、成長軌道に乗せればそれでよい」(『我が経営』<ジャック・ウェルチ/日本経済新聞社>より)

 身もふたもなくいえば、「金融事業は儲かればいい」ということだった。ウェルチ氏は同書の中で「創造力のある人材とモノづくりやマネーの規律とを巧みに組み合わせるという戦略が実に上手くはまった」と自賛している。

 もちろん時代や環境が変われば、経営者が取るべき戦略も変わる。イメルト会長の今回の戦略転換が、ウェルチ氏を超える判断となるのか。大いに興味を持って見守っていきたい。

 次稿では、金融部門と製造部門を有するもう一つの大企業、ソニーの事業組み合わせを分析する。
(文=山田修/経営コンサルタント、MBA経営代表取締役)

山田修/経営コンサルタント、MBA経営代表取締役

山田修/経営コンサルタント、MBA経営代表取締役

経営コンサルタント、MBA経営代表取締役。20年以上にわたり外資4社及び日系2社で社長を歴任。業態・規模にかかわらず、不調業績をすべて回復させ「企業再生経営者」と評される。実践的な経営戦略の立案指導が専門。「戦略カードとシナリオ・ライティング」で各自が戦略を創る「経営者ブートキャンプ第12期」が10月より開講。1949年生まれ。学習院大学修士。米国サンダーバードMBA、元同校准教授・日本同窓会長。法政大学博士課程(経営学)。国際経営戦略研究学会員。著書に 『本当に使える戦略の立て方 5つのステップ』、『本当に使える経営戦略・使えない経営戦略』(共にぱる出版)、『あなたの会社は部長がつぶす!』(フォレスト出版)、『MBA社長の実践 社会人勉強心得帖』(プレジデント社)、『MBA社長の「ロジカル・マネジメント」-私の方法』(講談社)ほか多数。
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