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東芝、深刻な内部崩壊 権力闘争と部門間潰し合いで、自慢の危機管理制度が機能せず

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東芝の事業所(「Wikipedia」より/Waka77)
 不適切会計問題で連日のようにメディアに叩かれている東芝。7月最初の週末となった4日の日本経済新聞朝刊が、不適切会計の規模が1500億円超に膨らむ可能性があると報じたためか、週明けの同社株価は前日終値比18.4円安で寄りつき、結局この日の売買高は前日の3倍近くに上った。さらに8日付の読売新聞朝刊や日経新聞夕刊によれば、不適切会計の規模は1700~2000億円に膨らむという。この報道で東芝株式は9日の取引開始早々、年初来安値を更新した。

東芝が初めて不適切会計問題の存在を公表したのは4月3日。エネルギー関連のインフラ工事における工事進行基準案件で不適切な会計処理があったとして、5月8日の時点で2015年3月期の決算発表延期を公表。その5日後の5月13日になると、現時点で判明している損失額が500億円程度に膨らみ、これが1カ月後の6月12日には548億円になった。会社側が数値に言及したのは今のところこれが最後だ。
 
 当初の報道レベルでは700億円程度まで膨らむとされていたが、先週末にこれが一気に倍増して1500億円超、8日には最大2000億円に膨らんだことになる。

たった2000億円で「会社存亡の危機」


 過去に多額の粉飾が発覚した事例と比較すると大きな金額ではあるが、年商6兆5000億円、単年度で2900億円もの営業利益を稼ぎ出し、純資産も15年3月末時点で1兆9000億円ある東芝にとっての2000億円と、過去の他の事例とでは数字の重さがまったく違う。

 しかもその2000億円は、10年3月期から14年3月期までの5年間での数字だ。同期間の東芝の公表済み営業利益は総額1兆491億円であり、その19%にすぎない。今回2000億円を処理することで純資産が毀損する割合は、わずか10.5%である。損失額が仮に3000億円に膨らんだとしても、5期分の営業利益の3割、純資産の15%である。

 上場会社は売上高で1割、営業利益、経常利益、当期純利益が3割以上変化する場合、業績予想の修正を公表する義務がある。逆にいえば、業績修正の基準は営業利益ベースで3割の変動なのであって、5年分で1割程度の営業利益修正がここまで大騒ぎになり、「会社存亡の危機」とまでいわれるのは明らかに異常だ。

 会社ぐるみでの粉飾を疑う声もあるようだが、こんなわずかな金額のために会社ぐるみで粉飾をするというのは現実味がない。無論、各部門にとって計画を達成するかどうかは死活問題なので、部門単位での粉飾はあり得るが、トップ主導による全社レベルでというのは考えにくい。

 監査法人の責任を問う声もあるが、これも無理筋だ。問題の中心とされている工事進行基準は恣意性が入り込みやすい欠点がある一方で、会計理論的には合理性が高く国際会計基準(IFRS)でも使われているため、金融庁は積極的に導入を後押ししてきた。