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TPP、大筋合意でも実効されない可能性大 大国・米国の自己都合

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TPP大筋合意に関する総理会見(「内閣府 HP」より)
 10月5日まで会期を延長したTPP閣僚会合(米国アトランタ)は、難題のバイオ医薬品のデータ保護期間や乳製品、自動車の原産地規則について合意が得られたとして、大筋合意の記者会見を行って終了した。

 今回の大筋合意によりTPP交渉は基本的には終了し、舞台は米国政府による米国議会への通告3カ月後の、早くても1月20日以降に予定される加盟12カ国による正式調印と、各国の議会承認手続きに移ることになる。

 TPPは条約なので、基本的には、加盟国のすべての議会で承認されて初めて発効することになる。ただし、議会承認国の合計GDPが加盟国全体の85%を上回った場合は、その時点で発効するとの規定が盛り込まれており、日米含めて6カ国で承認されれば成立するという異例の条約となっている。逆にいえば、GDPが1国のみで15%を超えている米国と日本のどちらかで承認がなされなければ、TPPは発効しないことになる。

米国議会


 なかでももっとも注視されているのが、米国議会で承認されるかどうかという点である。

 10月20日現在、米国政府から米国議会に対してTPP合意の通知はなく、TPP協定調印は前述のとおり来年1月20日以降となる。そのため、米国議会での審議開始は、協定調印から2カ月後の3月20日以降になる。

 米国議会は来年1月から始まるが、2月1日からは大統領選挙の予備選挙(アイオワ州党員集会)が始まり、3月1日がスーパーチューズデー、3月15日がオハイオ州、フロリダ州予備選挙と大統領予備選挙が最高潮に達し、その後も予備選挙は6月まで続き、7月18日〜21日の共和党全国党大会、7月25日からの民主党全国党大会での正副大統領候補決定と続くのである。

 また、大統領選挙と同時に、米国議会下院議員選挙(全員)と米国議会上院議員選挙(定数の3分の1改選)も同時に行われる。米国議会では、選挙期間中は休会となり、それは「レームダック会期」(Lame Duck Sessions of Congress)と呼ばれ、1980年代から現在に至るまで続いている。そのため、2月から始まる予備選挙から11月までの大統領選出まで、議会は開会されていても事実上の休会状態になるのが通例である。

 つまり、TPPは調印をしても米国議会での承認手続きが進行しない可能性が高い。仮に大統領選挙を無視して無理やり議会承認手続きに入ったとしても、今回のバイオ医薬品のデータ保護期間の問題については、米国医薬品多国籍企業は当初から保護期間12年を要求しており、今回の「実質8年」という合意内容に不満を持っている。これらの企業は議会に対して強い影響力を持っているだけに、議会の承認手続きが難航することが予想されている。