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町田徹「見たくない日本的現実」

先進国内で最も高い食品消費税、デタラメなスマホ料金介入…参院選でアベノミクス審判の年

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自民党公認候補予定者一覧(「自民党 HP」より)
 3年に1度巡ってくる参院選の年、2016年が始まった。


 この年を迎えるにあたり、選挙上手で「戦争の放棄」を謳う憲法第9条の改正を悲願とする安倍首相が掲げたのは、3年1カ月前の政権発足時と同じ「経済最優先」という戦略だ。昨年夏、安全保障関連法を強引に成立させたことで急落を招いた支持率の回復を狙い、暮らしの安定と改善を連呼して人気を回復しようというのである。

 ドイツ国民を第1次世界大戦の重い賠償責任と米国発の世界大恐慌の2重苦から解放すると訴えて独裁体制の確立に成功、世界を第2次世界大戦の戦禍に巻き込んだナチスドイツを彷彿させるような選挙戦術だ。

 しかし、安倍政権が掲げる「1億総活躍社会」「軽減税率の導入」「携帯料金の引き下げ」といった経済政策は、どれも実現性が乏しく、方法論に危うさが潜む欠陥政策である。われわれ有権者は、3年前の参院選や2年前の総選挙の時のように、美辞麗句に踊らされてはならない。今こそ、政策の真贋を見極める眼力が求められている。

 今夏の参院選へ向けて、政府・与党は周到な勝利の方程式を描いている。派手な狼煙のひとつは、昨年9月24日に打ち上げられた。正式に自民党総裁に再選されたことを受けて、安倍首相が自ら東京・永田町の自民党本部で記者会見し、政権発足以来の経済政策の1枚看板だったアベノミクスを「新3本の矢」に昇華させると宣言したのである。

 安倍首相は世論形成の達人だ。「新3本の矢」は、「希望を生み出す強い経済(GDP600兆円)」「夢を紡ぐ子育て支援(希望出生率1.8)」「安心につながる社会保障(1億総活躍社会)」の3本柱から成るが、どれも有権者の耳に心地よく響くものばかりだ。当時、経済政策の看板の掛け替えは急務になっていた。短期的な効果しかない旧3本の矢のうちの2本(異次元の金融緩和、機動的な財政政策)の賞味期限が切れかけていたうえ、残りの1本(成長戦略)も掛け声倒れに終わりつつあったからだ。

 しかし、新3本の矢はいずれもよい社会を生み出す手段(矢)ではなく、実現を目指す目標(的)を列挙しただけのものだ。準備不足で首尾一貫した哲学がなく、実現性の乏しい政策を寄せ集めたパッケージに過ぎないことは明らかだった。

民間企業経営に口出し


 そして、昨年12月。安倍政権が相次いで15年度の補正予算と16年度予算案を閣議決定し、新3本の矢が選挙目当てのバラマキ戦略に過ぎなかったことがはっきりした。安倍政権は、子ども1人当たり3000円を支給する子育て給付金の16年度からの廃止を決めていたが、15年度補正予算で「1億総活躍社会」実現のためとして、1人当たり3万円の低所得高齢者(約1100万人)向け現金給付(総事業費3624億円)を打ち出した。