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しかし、財務省や自民党の主張より広がったとはいえ、軽減税率を食品の一部と新聞に絞り込んだことは政策として問題が多い。課税所得の多寡に応じて税率を累進的に定める所得税と違い、消費税は所得水準にかかわらず一定額を支払うもので、低所得者に厳しい税金だ。食品だけでなく、電気、ガス、水道、緊急通信といったライフライン全体に広く軽減税率を導入すべきだ。その税率も食品で8%というのは、先進国でも最も高い“酷税”である。
結局のところ、軽減税率導入騒ぎも、安倍政権が国民に寄り添うポーズをしただけで、実効の乏しい議論といわざるを得ない。
昨年の秋以降、永田町ウォッチャーの間では、連立を組む公明党とあわせて参院でも3分の2の議席を確保したいという安倍首相の執念を感じるという声が増える一方だ。その先には憲法9条の改正が視野にあるのだという。
過去2回の国政選挙で、安倍首相の経済政策に期待して、連立与党に投票した有権者は多かったはずだ。永田町ウォッチャーたちは、同じ選挙戦を展開すれば、今回も大勝できると安倍政権が算盤を弾いているという。
しかし、この政権の経済政策にそれほどの効果があったのか、あるいは今後期待できる要因があるのか。今年は、投票前に熟考が求められるのではないだろうか。
(文=町田徹/経済ジャーナリスト)
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