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町田徹「見たくない日本的現実」

日本経済に変調?政府の「バラ色シナリオ」崩壊か…先行指標が大幅減

文=町田徹/経済ジャーナリスト
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 不思議なほど、悪いことは重なる――。

 年初から2週間、世界的な株価暴落に歯止めがかからないなかで、安倍政権が強気を崩さない根拠にあげてきた順調な日本経済に気掛かりな黄色信号が灯った。

 内閣府が先週木曜日(14日)に公表した機械受注統計(昨年11月分)の「船舶・電力を除く民需」が、前月比14.4%減の7738億円と3カ月ぶりのマイナスに転落したのだ。マイナス幅も、事前の市場予想(QUICKまとめ、7.8%減)を大きく上回った。

「船舶・電力を除く民需」は、企業の設備投資の先行きを占う先行指標として知られる。調査対象が主要308社で大型案件の動向次第で振幅が大きくなるとはいえ、今回のような大幅な落ち込みは、設備投資主導の景気拡大というバラ色のシナリオを描いていた政府経済見通しを狂わせる予兆と受け取れなくもない。そうなれば、好調な経済というシナリオを前提に、安倍政権が当て込んでいた税収増や財政再建路線にも支障をきたしかねない。今こそ、事態を深刻にしないための機敏な手立てが必要だ。

 今回の統計によると、民需、官公需、外需、代理店の4需要者を合わせた受注総額は前月比23.2%減の2兆1456億円。このうち、外需が同25.0%減の9700億円と3カ月ぶりの大幅マイナスを記録したほか、民需が同22.3%減の9140億円と急激に落ち込んだことが、総額の大幅な減少に直結した。

 民需の内訳をみると、企業の設備投資の先行きを占う「船舶・電力を除く民需」は、10月の10.7%増の反動から大きなマイナスになった面もある。しかし、業種別にみると、そうとばかりはいえないことがわかる。プラスが石油製品・石炭製品、化学工業、食品製造業など5業種にとどまったのに対し、その他輸送用機械、鉄鋼業、精密機械、一般機械、電気機械など川上産業の業種を含む10業種でマイナスとなったからだ。景気の先行きの弱さを裏付けたものと素直に受け止めたほうがよさそうだ。

 ちなみに、非製造業では、卸売・小売業、通信業、情報サービス業など4業種でプラスだったものの、電力業、運輸業・郵便業、金融業・保険業、鉱業・採石・砂利採取業、農林漁業など8業種がマイナスとなっている。

要人たちの強気発言の狙い

 ここで指摘せざるを得ないのが、安倍政権が昨年暮れ(12月22日)に閣議了解した2016年度の政府経済見通しの甘さだ。政府はGDPの伸びが実質で前年度比1.7%増とかなり強気の見通しを掲げていた。これは、13年度(2.5%)以来の高い水準である。そのバラ色のシナリオを根拠に、政府は大幅な税収増が見込めるとか、財政再建路線が盤石だとしていたのだ。

町田徹/経済ジャーナリスト

町田徹/経済ジャーナリスト

経済ジャーナリスト、ノンフィクション作家。
1960年大阪生まれ。
神戸商科大学(現・兵庫県立大学)卒業。日本経済新聞社に入社。
米ペンシルべニア大学ウォートンスクールに社費留学。
雑誌編集者を経て独立。
2014年~2020年、株式会社ゆうちょ銀行社外取締役。
2019年~ 吉本興業株式会社経営アドバイザリー委員
町田徹 公式サイト

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