米ラスベガスで毎年1月に開催されるコンシューマー家電業界の展示会「CES」が、今年も6日から9日まで開催された。近年ではデジタル家電の普及に伴い、スマートフォンやPCの展示が増加し、今年はさまざまな物がネットにつながる「IoT(Internet of Things)」や、ヘッドマウントで映像やゲームを楽しむ「VR(バーチャルリアリティ)」が流行だ。
年初に開催されることもあり、CESでは1年間のトレンドがどこに向かうのか、方向性を示すような製品やコンセプトの発表が多い。自動車関連の展示も多いCESで、最初に大きな注目を集めたのがトヨタ自動車だ。人工知能研究の子会社を設立し、米国の著名研究者を続々と取り込む。今後は5年で10億ドルを投じながら、自動運転の実現に向けて取り組む構えだ。
ウエアラブル分野ではスマートウォッチの進化も続く。カシオはアウトドアでの利用を想定したAndroid Wear採用スマートウォッチを発表した。アップルの「Apple Watch」をはじめ、ファッション性やフィットネス用途を追求するものが多いなか、本格的なタフネスモデルとして注目を集めた。
再建に揺れるシャープはCES 2016への出展を見送ったものの、米クアルコムのブースにはロボット型携帯電話「RoBoHoN(ロボホン)」を展示。海外の来場者が口々に「キュート!」などと絶賛していたのが印象的だ。
IoT完全対応に向けて先行するサムスン
CES 2016においても随所で日本企業の活躍を見ることができた一方で、東芝やシャープといった国内家電大手が次々と脱落しているのは残念なところだ。その代わり、勢いを伸ばしているのが中国企業といえる。
CES後の1月15日に米ゼネラル・エレクトリック(GE)家電部門の買収を発表するなど勢いに乗る中国ハイアールは、冷蔵庫やテレビを中心に大型ブースを構えた。対する中国ハイセンスも米マイクロソフトが2012年に撤退した場所に出展を続けており、テレビやスマホ製品の品質は年を追うごとに向上している。PC分野では世界シェア1位の中国レノボが新製品を一挙投入。クアルコムの最新ハイエンドCPU「Snapdragon 820」を搭載する初めてのスマートフォンは、中国LeEco(LeTV)から登場した。