エコノミストをマーケティングしてみよう
年末~年始には多くのメディアが、「2016年の日本・世界の経済はどうなるか」といった予測を取り上げます。そこには、シンクタンクや金融機関のアナリストから経済評論家、ジャーナリスト、大学に属する経済学者など多くの専門家が登場します。少し乱暴かもしれませんが、こうした専門家たちを一括して「エコノミスト」と呼ぶことにしましょう。
多くのメディアは、できるだけ多くのオーディエンス(視聴者や読者)に注目されるエコノミストを起用したいはずです。したがって、メディアはエコノミストに対して「マーケティング」的発想を適用すべきです。エコノミスト個人にとっても予測や分析を生業とする以上、自分をマーケティングすることはきわめて重要です。
そう考えるならば、本連載で述べてきた顧客のセグメンテーションとターゲティングがまず役に立つはずです。顧客セグメントの候補になるのは、政策決定者、プロ投資家とアマチュア投資家、企業の経営幹部と従業員、その他の一般の人々などでしょう。彼らはそれぞれ異なるメディアに接し、異なる質と量の情報を求めています。
今回紹介するのは、私もプロジェクト・メンバーとして関わった世論調査の結果です【註1】。これは一般の有権者に、経済政策への意見などさまざまな質問を行ったものですが、そのなかにエコノミストの知名度に関する質問が含まれているのです。したがって、一般市民を対象にエコノミストをマーケティングするのに参考になるはずです。
誰が日本でもっとも有名なエコノミストなのか?
エコノミストの知名度は、あらかじめ選んだ40人のエコノミストの名前を提示し、その名前を知っている人が何%いるかで測りました。知名度が全体で上位10位に入ったエコノミストが図表1に掲げられています。そのなかで圧倒的に知名度が高かったのが森永卓郎氏で、次いで竹中平蔵氏、勝間和代氏、堺屋太一氏となります。
上位10位に入ったエコノミストは皆メディアへの露出が多く、経済のみならず、幅広い話題について情報を発信している方々です。だから一般の人々の知名度が高くなっているのです。なお、経済政策について一定の知識があると自負する対象者だけで集計しても、主要なエコノミストの知名度の順位はほとんど変化しません。