なお、経済学界の重鎮で学識経験者として政府の審議会のメンバーに選出されるような経済学者であっても、ほとんどの場合一般の人々の知名度は数%しかなく、知名度の順位は20位以下になります。もちろん、一般市民ではなく政府や企業の専門家たちをターゲットにマーケティングしているのであれば、それでもかまわないわけです。
誰をターゲットにするか?~高齢者か若者か
図表2は、知名度上位10名のエコノミストのうち7名について、調査対象者の年代別に知名度を比較したものです。一目見てわかるように、対象者の年代が上がるほど、これらのエコノミストの知名度は上がります。もっとも極端なのが堺屋太一氏で、60代では知名度は9割に達していますが、20代では2割ほどしかありません。
ほかの有名なエコノミストもまた、20代の若者にはさほど認知されていません。これは私にはちょっとした驚きでした。経済に関する情報を求めるようになるのは、ある程度年齢を重ねてからということでしょうか。そのことを確認するため、図表3をつくってみました。年代によって、経済政策に関する知識がどれだけ増えるかを示したものです。
これを見ると、経済政策に関する知識が「ある」という人は年代が上がってもさほど増えませんが、知識が「ない」という人はぐっと減ります。したがって年齢が上がると、経済の知識がある程度は増えるといっていいでしょう。しかし、その伸び具合は、有名エコノミストへの知名度ほど大きくはないようです。
実は知名度上位10名のうち、森永卓郎、勝間和代、宮崎哲弥の3氏の知名度は20代で下がるものの、年代による差があまりありません(図表4)。さらに、知名度上位10名のなかには入っていませんが、池田信夫氏の知名度は20~30代のほうが高いくらいです。したがって、若者はターゲットにならないと一概にいえないように思います。
若者をターゲットとするエコノミストは登場するか?
セグメンテーションのもうひとつ重要な変数に性別があります。ほとんどのエコノミストの知名度が、女性において男性より低くなります(経済政策への知識も減る)が、各エコノミストの順位自体はさほど変わりません。例外は、勝間和代氏や荻原博子氏のような女性エコノミストです。彼女たちの知名度は、女性においてより高くなります。