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ベンツ乗り回すお坊さん、お布施不明瞭…アマゾンのお坊さん便に全日本仏教会が中止要請

文=中村未来/清談社
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 2015年12月8日から、通販サイト「アマゾン」で新たなサービスが始まった。その名も「お坊さん便」だ。インターネット上で申し込みをするだけで、法事で読経を行う僧侶を派遣してくれる仲介サービスである。

 明確な金額設定などが「わかりやすい」と好評の一方、「ありがたみがない」「お経は商品じゃない」など批判の声もある。全国の宗派で構成される全日本仏教会も「宗教行為を商品にしている」と声明を出し、アマゾン側にサービス停止を求める文書を送っている。実際、現役の僧侶は「お坊さん便」をどう思っているのだろうか。

「僧侶や仏教関係者の一人ひとりに考えがあるため、全員一致の総意ではありませんが」と前置きした上で、「私個人としては『お坊さん便』の“システム自体”は、まったく問題ないと思っています」と話すのは真言宗の僧侶・N氏だ。

 N氏によれば、もともと仏教界には「ポータル的な役割を果たす人が、依頼者に僧侶を紹介する仕組みがある」という。例えば、普段から懇意にしている寺がない場合、「お経をあげてほしい」となっても、どこに頼めばいいのかわからない。そうした人たちのために、各都道府県の寺には「支所長」と呼ばれる人が在籍している。

「依頼者が『お経をあげてほしい』と寺に問い合わせると、支所長のいる寺を紹介されます。そこに連絡すると、あらためて住んでいる地域や宗派を聞かれ、お坊さんを紹介してもらえるという仕組みです。このシステムだけを見ると、仲介者を通じて僧侶を派遣するアマゾンと、かなり似ていると思います」(N氏)

僧侶の素性や責任が曖昧な「お坊さん便」

 ただし、アマゾンの「お坊さん便」には大きな問題点が2つあるという。

「ひとつ目は、どんな僧侶が来るかわからないという点です。派遣されて来る僧侶が本当に信頼できる僧侶なのか? もし問題があった場合、誰が責任を取るのか? そのあたりが、アマゾンの『お坊さん便』では曖昧です。私のまわりに登録している僧侶はいないこともあり、実際にどんな僧侶が来るのか、本当にわかりません。

 もうひとつの問題は、お布施の金額が決まっているという点です。僧侶があげるお経は本来“商品”ではなく、対価を決めてしまうと、それはもはやお布施とはいえません。また、お布施とは『喜捨』するもので、『喜んで捨てる』という考え方です。依頼者が満足した分を僧侶に渡せばいいので、金額を決めたら喜捨ではなくなってしまいます」(同)

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