米グーグルの持ち株会社アルファベットの株式時価総額が2月1日、米アップルを上回った。2004年に前身のグーグルが上場して以来、初の世界首位だ。時価総額69兆円はトヨタ自動車(24兆円)の3倍弱だ。11年夏以降、ほほ一貫してトップを守ってきたアップルは首位の座を明け渡し、アップルの成長神話の陰りを象徴する出来事となった。
この“アップルショック”によって、日本の電子部品株の株価が惨落した。
iPhoneの3割減産が引き起こした危機
年明けの世界の株式市場は波乱の幕開けとなった。中国の株安、原油安などと並んで、米国企業の成長の鈍化が報じられており、円高ドル安が加速した。殊に投資家の心理を悪化させるボディーブローとなったのが、アップルの減産である。15年9月に発売した最新モデル「iPhone 6s/6sプラス」の16年1~3月期の生産量を、計画に比べて3割程度減らすと伝えられた。
アップル関連株の連鎖安は1月5日の米国市場から始まった。6日には日本や台湾市場でアップルに電子部品を供給する銘柄が軒並み売られた。東京マーケットではアルプス電気、村田製作所、日東電工などが大幅安となった。
iPhoneの成長鈍化を数字で見てみよう。15年10~12月期の販売台数は7477万台と前年同期比0.4%増にとどまった。07年に初代を発売して以来、最も低い伸びとなった。アップルは16年1~3月期の売上高が前年同期比で9~14%減る見通しだと発表した。減収になれば、実に13年ぶりのことだ。
これを受けて1月28日の東京株式市場では、村田製作所、TDK、太陽誘電などの株価がさらに大きく値を消した。
15年のiPhoneの国内出荷台数は10.6%減
調査会社のMM総研がまとめた15年の国内携帯電話端末出荷概況によると、iPhoneの出荷台数は前年比10.6%減の1473万台にとどまった。6s/6sプラスの販売が伸び悩んだためだ。
国内では、ソフトバンクが08年からiPhoneを販売して契約者が急増した。11年にKDDI(au)も取扱いを始め、最大手のNTTドコモも13年に参入した。携帯電話3社が販売を手掛けたことで、スマートフォン(スマホ)が携帯電話出荷台数の6割を占めるようになった。ちなみに15年のスマホ出荷シェアは77.1%で、前年比4.7ポイント増加した。
iPhoneの年間出荷台数が前年を下回るのは08年の国内参入以来は初めてのことだ。価格が上がったことが販売低迷につながったと分析されている。
携帯電話各社は2月に入り「実質0円」といった過度の端末安売りを自粛する方針を明らかにした。このため16年のiPhoneの出荷台数は、さらに減るとMM総研は予測している。