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ルディー和子「マーケティングの深層と真相」(4月28日)

アマゾン、なぜ衣料品PBを開発?ユニクロ、自社の「時代遅れ」気付き解体的改革始動

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アマゾンの倉庫(「Wikipedia」より/Asacyan)

 eコマース企業の成功例として挙げられるアマゾン楽天、スタートトゥデイは、すべて在庫ロスのリスクの小さいビジネスモデルを採用している。この事実は、販売機会ロス、値下げロス、廃棄ロスという3つの在庫ロスが発生しやすいタイプの商品を取り扱っている企業が、ネットというチャネルを付加することの難しさを示唆しているのではないだろうか。3つの在庫ロスを抱える既存のビジネスモデルを変えることなくネットというチャネルを付加することは、在庫リスクをかえって高めることにならないだろうか。

 たとえば、カタログ通販の例をみてみよう。

『合理的なのに愚かな戦略』(ルディー和子/日本実業出版社)
 カタログ通販は1980年代に大きく成長した。だが、91年のバブル崩壊後は衰退が続き、売り上げ上位を占めていた千趣会、ニッセン、セシールも業績停滞や悪化により、他企業に買収されたり、資本業務提携を結んだりする結果となっている。

 カタログ販売の中核商品は衣料品だ。そして、90年代初め、ファストファッションやユニクロのような低価格帯アパレルの登場で大きな打撃を受けた。対策として、自分達も低価格帯商品を出さなければいけないと考えたが、商品企画からカタログができるまでは少なくとも8~12カ月かかる。ZARAやH&Mのようなファストファッションのまねは到底できない。

 そこでユニクロのマネはできるのではないかと考え、ある程度のSPA(製造小売業)化を進め、一定の品質の定番商品の低価格化は実現した。しかし、数カ月間同じ商品しか見せられないカタログという媒体は、常に新鮮なものを求める消費者の欲求には答えられなかった。また、めまぐるしく変化する環境(気候、世の中の雰囲気)の中では、需要予測がはずれることが多く、在庫ロスが発生する。

 カタログ通販の問題は、基本的ビジネスモデルが時代の変化に合わなくなってきていることにあった。だが、衰退の原因は「カタログという紙媒体からデジタルメディアへの移行が遅れたから」と理由づけされた。

 問題はメディア(チャネル)にあったわけではない。生鮮度が重要な商品カテゴリーを企画・販売するカタログ通販のビジネスプロセスが、世の中の変化のスピードにそぐわなくなってきたことが本当の要因だ。もともとのビジネスモデルに問題があるのだから、同じモデルでネット販売をしたからといって、根本的問題解決にはならない。結果、ネット販売に力を入れるほど全体の売り上げ、あるいは利益が下がっていく結果を招くこととなった。