今年9月、コンビニエンスストア業界3位のファミリーマートと4位のサークルKサンクスを傘下に持つ持ち株会社ユニー・ファミリーマートホールディングスが発足する。
同社の社長はファミマ会長の上田準二氏だ。上田新社長は、コンビニの首位争奪戦に挑む。
コンビニ事業のブランドはファミマに一本化する。全国に約6300店あるサークルKとサンクスは新会社発足後2年半で、すべてファミマの看板に統一。店舗数は、単純合算で1万8000店規模になり、4月末現在1万8650店の業界首位、セブン-イレブン・ジャパンに肉薄する。
上田氏は2000年に伊藤忠商事からファミマの執行役員に転じ、02年に社長に就任した。「コンビニは2強に集約される。ナンバー3が上に行くのは厳しい」というのが持論だ。万年3位から抜け出すために、大型のM&A(合併・買収)を仕掛けた。
しかし、コンビニのM&Aは難しいというのが定説だ。本部に支払うロイヤルティー(経営指導料)など、契約条件がチェーンごとに大きく異なるからだ。
サークルKサンクスでは、サークルKよりロイヤルティーの徴収割合が低かったサンクスのオーナーが反発したため、結局、契約内容を統一できず、ブランドが並立する状態がファミマと経営統合の時点まで続くことになった。
こんな業界の常識を覆したのが、09年のファミマによるエーエム・ピーエム・ジャパン(am/pm)の買収だ。am/pmは当初、ローソンが買収する予定だったが、ブランドの存続をめぐり対立。当時、ファミマ社長だった上田氏が、老朽化した店舗設備の更新費用など手厚い優遇策を用意し、オーナーを説き伏せて買収にこぎ着けた。
ただ、今回はam/pmの統合とは規模が違う。am/pmの店舗は1100店程度で、このうち不採算店などを除く730店を2年かけてファミマに転換した。だがサークルKサンクスは6300店と8.6倍の規模だ。しかも、サークルKとサンクスでは契約条件が異なる。am/pm のときの9倍近い店舗の看板を、2年半で掛け替えるという。
同じ契約条件にして、しかもブランドを統一するのには相当なエネルギーと時間が必要だ。am/pmの成功体験があるとはいえ、果たして2年半でブランドを統一できるのだろうか。その間にも、コンビニの競争環境は目まぐるしく変わる。
ファミマへの看板掛け替えについて、完了時期を19年2月末から1年程度前倒しする話が浮上しているが、さすがにそれは無理だろう。ブランドの転換を拙速に進めると、思わぬ落とし穴となる。