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「PDCA依存」でダメになる現場を救う最強米軍「OODA」戦法とは?

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※画像:『米軍式 人を動かすマネジメント』著:田中靖浩/日本経済新聞出版社刊

 「PDCAを回せ!」の合い言葉が不祥事を生む? 東芝の不正会計事件、三菱自動車の燃費偽装…不祥事の連鎖が止まらない。その原因はもしかしたら、行きすぎたPDCA信奉かもしれない。

 いまや常識となった予算や経営計画によって社員が苦しんでいる。PDCAサイクルのP=計画で、「無理な計画」が作られると必ず現場に悲鳴が上がる。もしかしたら「先の見えない」環境においては、PDCAそのものの見直しが必要かもしれない。

 米軍は新しい手法OODAを用いて、計画&管理一辺倒の見直しをしているようだ。

■PDCAが悲劇を生むケース

 『米軍式 人を動かすマネジメント』(日本経済新聞出版社刊)の著者であり、公認会計士の田中靖浩氏は、「日本人の過剰なPDCA愛好」に対して警鐘を鳴らす。

 当初の計画に固執するあまり、それが無謀であり、あるいはマーケットの変化に対応できないものであったとしても、マネジメント層は現場に「初志貫徹」を貫かせ、これが不祥事を生む温床となる。

 また、目標達成のために従業員のDo(行動)は日々細かくチェックされ、「任務を遂行したかどうか」で評価される。これは従業員の自主性を失くす原因になる。さらに短期的なCheck(評価)は「長い目で顧客を考える、従業員を育てる」という視点を失わせる。

■すべてを計画通りに進めることはできない

 田中氏いわく、「PDCA的な計画の管理は、環境が安定的で変化が少ないビジネスにおいて有効」であるという。しかし、このご時世では、大きな変化に晒されているビジネスの方が多いはずだ。

 PDCAは「想定できない変化」への対応が難しい。例えばエンターテインメント業界では、売り出す作品が「100%売れる」と断言するのは難しいし、いつライバルが入ってくるかもわからない。CMで起用している著名人がスキャンダルに巻き込まれる可能性もある。

 だからといって、トップがころころ計画を変更すると、現場に不信感を募らせる。LINEの社長を務めた森川亮氏は、著書『シンプルに考える』の中で、社員から「ブレている」という批判があがっていたことを吐露し、「計画を発表しない」という方法を取ったことを告白している。

■湾岸戦争におけるアメリカ軍の戦術に学ぶ

 では、想定できないことだらけの世の中で、どのように計画を立て実行し、結果を出せばいいのか。

 田中氏は本書の中で、湾岸戦争におけるアメリカ軍の例をもとに説明する。それは1990年の湾岸戦争をキッカケに生まれたManeuver Warfare(機動戦)という新スタイルの戦い方である。

 この「機動戦」の特徴は次のようなものである。

・敵の動きを読んでその弱点を突く
・体力勝負の消耗戦でなく、頭脳戦で挑む
・事前の計画より、事後の臨機応変を重視する

 先の項目で「PDCAは変化が少ない安定した環境向き」だと述べたが、この「機動戦」は変化が多い不安定な環境下において有効な手法なのだ。

■「OODAループ」という手法

 『米軍式 人を動かすマネジメント』では「機動戦」的な経営を可能にするための手法として「OODAループ」を提案する。

 OODAとはO=Observe(観察)、O=Orient(方向付け)、D=Decide(決心)、A=Act(実行)のことで、周囲の状況から自分たちのすべきことを策定し、アクションを取るという意思決定プロセスを意味する。

 OODAループを提唱したのはアメリカ空軍のジョン・ボイド大佐(1927-97)。ビジネスには軍事由来の手法が多いが、この意思決定プロセスも、軍事モデルをもとにしている。変化が激しい環境に有効なOODAループのビジネス活用は、これからますます増えていくことだろう。

■結果を出す組織に成長するには

 日本の経営企画はいまだ工業時代に培われたPDCAの枠組みにどっぷりつかっている。しかし工業のサービス業化が叫ばれる今、経営企画に新たな視点を取り入れる必要があろう。

 変化への対応が企業成長のカギを握る現代において、とりわけ中小企業にOODAループの実践は有効性が高そうだ。

 PDCAは確かに組織を結果にコミットさせるために適した手法ではあるが、現場は「やらされている感覚」を持ってしまうことが多く、受け身になりがちだ。

 『米軍式 人を動かすマネジメント』では、従来のPDCAにOODAを組み合わせて「動ける組織」を作る方法を豊富な事例を通して伝授する。変化に対応するためには動くことが必須であり、それが組織の成長にもつながる。なかなか事業が上手くいかない…と悩んでいるマネジメント層にとって、新たな視点やヒントが散りばめられているはずだ。

(新刊JP編集部)

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※本記事は、「新刊JP」より提供されたものです。