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卵子凍結、激増で一般普及…女性の仕事と出産を両立、「子供への影響不透明」との指摘も

文=松庭直/フリージャーナリスト
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卵子凍結、激増で一般普及…女性の仕事と出産を両立、「子供への影響不透明」との指摘もの画像1顕微授精で精子を卵子に注入している様子(「Wikipedia」より/Michiel1972)

 少子化対策の一環として、全国で初めて卵子凍結保存のための助成金補助に着手した千葉県浦安市。先日、20代の女性がその助成金を使用し、卵子凍結保存を実施したことが明らかになった。現在、浦安市では11人の女性が卵子凍結保存に向け、準備している段階だという。

 今まで病気など医学的な理由で卵子を凍結し、妊娠・出産したケースはあったが、仕事など社会的な理由で卵子を凍結し妊娠・出産に至ったケースは、今年になって初めて報告されている。私たちの生活に身近になった卵子凍結だが、実際にどういったものなのかを知っている女性は少ないのではないだろうか。

 そこで、健康な女性の凍結卵子を使い、初めて妊娠・出産を成功させたオーク住吉産婦人科の船曳美也子医師に話を聞いた。

「分娩によるトラブルなどは増えない」

「世界的なガイドラインができたのが、2012年です。それまでにも凍結卵子を使用した妊娠、出産は行われていたのですが、まだまだ実験的な段階で、病気などの理由がある場合がほとんどで、一般には普及しておりませんでした」(船曳医師)

 健康な女性の卵子凍結が飛躍的に行われるようになったのは、04年。イタリアで宗教的観念から、不妊治療のため受精卵の凍結が禁止になり、その代わりとして卵子凍結が広まったという。

「それまで、未受精卵を使用した場合、染色体異常が増加すると思われていたのですが、卵子凍結の数が増加したことによって、データが揃い、染色体異常や分娩によるトラブルなどは増えないことが実証されました」(同医師)

 しかし04年当時は不妊治療の一環として捉えられ、社会的理由による卵子凍結は一般的には普及していなかった。しかし、12年に放送されたテレビ番組『産みたいのに産めない~卵子老化の衝撃~』(NHK)が反響を呼び、卵子凍結に踏み込む女性が急激に増加したという。

「当院が社会的理由による卵子凍結を初めて行ったのは10年です。当初は一桁台だったのですが、年々増加傾向になり、14年には100人を超えました」

 未受精卵子からの出生率の統計は、41.2歳で5%、31.2歳で10%、25歳で15%となっている。

「卵子が多ければ多いほど、確率は上がります。しかし、卵子は受精卵より初期の段階なので、受精卵より多くの数が必要になる。私は30個ほどの凍結を推奨しますが、こればかりは個人の自由なので、ご自身のライフプランに見合った数を凍結されれば良いかと思います」

女性の人生をサポート

 一方、日本産科婦人科学会は健康な女性の卵子凍結について「妊娠率が低い」「感染症のリスクや卵巣への負担」「生まれてくる子供への影響が不透明」「高齢出産につながりやすい」などとして「推奨しない」としている。また、日本生殖医学会は「40歳以上での採卵、45歳以上での使用は推奨しない」と条件付きでの容認となっている。

「なかには、卵子凍結がある意味保険となり、女性の晩婚化を進めるといったような意見があります。しかし、女性の人生にとって仕事が大事な時期と生殖適齢期が同時進行で進むため、選択が厳しいのが現実です。そのなかで、卵子凍結は女性の人生をサポートする役割を担えるのではないでしょうか」

 その一環としてスタートした、卵子凍結に対する自治体の公費助成。民間ではフェイスブックやアップルなど、福利厚生の一環として凍結費用を補助する企業も現れ、女性の活躍をサポートしている。

 現代の社会的な構図により“産む”という行為に選択が迫られるようになり、そのひとつの選択肢として現れた卵子凍結保存。今、求められるのは国による早急な法整備ではないだろうか。
(文=松庭直/フリージャーナリスト)

松庭直/フリージャーナリスト

松庭直/フリージャーナリスト

大手出版社の編集記者を経てフリーに。専門は生殖補助医療、地方問題、韓国・竹島問題。

Twitter:@kfT9ZfEnrQTMavT

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