コンビニエンスストアの“勝利の方程式”が揺らいでいる。
勝ち組とされてきたコンビニの2016年3~5月期決算が減速した。個人消費にデフレ色が強まったことが背景にある。
セブン-イレブン・ジャパン、ローソン、ファミリーマートのコンビニ大手3社は、チェーン全店の総売上高では過去最高だったが、本業の儲けを示す営業利益はセブンがわずかに増益、ローソンとファミマは減益となった。
セブンは、淹れたてコーヒーの「セブンカフェ」や主力の弁当・おにぎりの販売が好調で、チェーン全店売上高は前年同期比5.4%増の1兆1003億円、営業利益も0.4%増の583億円で、いずれも3~5月期で過去最高となった。しかし、営業利益は前年同期の5.1%増から伸び率は大きく鈍化した。
ローソンは、チェーン全店売上高が日販商品の拡充と出店効果によって3.2%増の4958億円と過去最高を更新した。だが、営業利益は8.8%減の174億円。店舗の改装費や加盟店支援の経費などが増加した。
ファミマは、チェーン全店売上高は5.9%増の5177億円と、これまた過去最高。しかし、営業利益は5.9%減の104億円。昨年12月に吸収合併したココストアのファミマへの看板の掛け換え費用など出店費用がかさみ営業減益となった。
コンビニ大手3社は、激しい出店競争を繰り広げた結果、チェーン全店売上高はいずれも過去最高を更新した。一方で出店増が営業利益の増加には結びつかなかった。新規出店=営業増益という勝利の方程式が揺らぎ始めたということだ。
セブンとローソンは平均日販が前年割れ
コンビニの実力を示す指標に、「平均日販」と「既存店売り上げの伸び率」がある。平均日販とはコンビニの1日当たりの平均売上高のことだ。
一強といわれてきたセブンに異変が生じた。全店の平均日販は64万5000円で、前年同期より3000円減った。このうち新規出店した店舗のそれは52万7000円で、前年同期より1万8000円の大幅減となった。
既存店売上高は1.7%増とプラスだったが、前年同期の3.5%増から1.8ポイント下がった。客数の伸びはゼロだった。独走状態だったセブンの成長が明らかに鈍化してきた。
セブンは15年1月からドーナツの販売を始めた。「17年2月期に6億個(600億円)」という目標を掲げた。1店舗当たりに換算すると、1日100個の売り上げになる。ドーナツによって、日販で1万円上乗せできるとソロバンを弾いていたのだ。