ところが、セブンのドーナツの売り上げは伸び悩み、今年1月にはドーナツの全面刷新に踏み切った。コーヒーの大ヒットで平均日販を70万円台に乗せたこともあったが、淹れたてコーヒーに続くヒット作がなかったことが、平均日販の前年実績割れを引き起こした。
ローソンの全店の平均日販は52万8000円で、前年同期より4000円減った。新規出店した店は50万5000円で同7000円のマイナスだ。既存店売上高は1.0%のマイナス。前年同期の0.4%増から、前年割れに沈んだ。客数も0.8%減った。
これに対してファミマの平均日販はプラスに転じた。全店の平均日販は51万4000円で、前年同期より7000円の増収だ。新規出店した店は50万8000円で2000円増えた。
新規出店の平均日販ではファミマがローソンを上回り、セブンとの差も縮まった。製法や素材を見直して品質を高めた冷やし麺やサンドイッチが牽引し、既存店売上高は1.1%増えた。だが、ファミマも客数は1.6%減った。
3~5月期決算で特徴的なことがある。3社の新規店舗の平均日販が急接近してきているのだ。ファミマの健闘が目立ち、セブンの優位性がなくなってきた。
ローソンは値下げを断行
総務省の6月の家計調査によると、全世帯(2人以上の世帯)の消費支出は26万1452円となり、前年同月に比べて実質2.2%減少した。減少は4カ月連続。勤労者世帯の1世帯当たりの消費支出は実質で5.1%減少。2カ月連続で前年同月を下回った。 総務省は「消費の弱い動きがみられる」と基調判断を据え置いた。
消費者の節約志向が鮮明になり、デフレ脱却の道筋が見えなくなってきた。それどころか、一段とデフレ色が強まったといえるかもしれない。
それに合わせた当然の動きとして、価格の引き下げが起きている。長らく定価販売のビジネスモデルで成長してきたコンビニだが、デフレ時代に対応するため値下げを決断した。
先陣を切ったのはローソン。6月末に地域別価格を導入し、飲料や調味料、洗剤など90品目を対象に、全店舗の75%に当たる9000店舗で地域ごとに異なる価格を設定した。
コンビニは店舗ごとにオーナーがいるため価格に差をつけることは難しく、全国どこの店でも同じ値段が当たり前だった。ローソンはこの原則を崩したことになる。
店舗数が増え続けるドラッグストアでは、クスリのほかに加工食品や生鮮食品の安売りで客数を伸ばし、食品スーパーも利益度外視の目玉商品や特徴ある商品を用意している。「コンビニは食品スーパーより高い」というのが消費者の一般的な受け止め方だ。その固定観念を打ち破り客足を戻す試みが、ローソンの地域別での値下げ販売だ。