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ソフトバンク、巨額負債抱え投機的水準に…投資家の大損リスク潜む「毒薬」社債バラ撒き

文=森岡英樹/ジャーナリスト
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ソフトバンク、巨額負債抱え投機的水準に…投資家の大損リスク潜む「毒薬」社債バラ撒きの画像1ソフトバンク・孫正義社長(写真:アフロ)

 ソフトバンクが、英アーム・ホールディングスを買収した。3.3兆円の買収額は過去最高。ソフトバンクが過去買収した最高額の米スプリント(1兆8000億円)の2倍近い金額だ。お金を豆腐のように1丁(兆)、2丁(兆)と数えるソフトバンクらしい買収だが、さすがに市場をアッと言わせた。

 当初ソフトバンクは、中国アリババ、ガンホー・オンライン・エンターテイメント、フィンランドのスーパーセルという一連の保有株式売却で得た利益(約2兆円)を有利子負債の返済に充てるとみられていたが、まさに孫正義社長の直観で急転直下、買収に動いたアーム取り込みに充てた。

 しかし、これだけで買収資金が賄えるわけではない。メインバンクのみずほ銀行から1兆円のクレジットラインの供与を受けるとともに、資金調達の切り札として発案されたのが個人向けのハイブリット社債だ。当初の利率は年3%、預貯金金利がほぼ0%に近いなか、個人にとって非常に魅力的な商品だが、思わぬ落とし穴も潜んでいる。

 ソフトバンクは今年度中にアーム買収資金に充当するための個人向けハイブリット社債を1兆円規模発行する計画である。その第1弾が9月30日払い込みで発行される「ソフトバンクグループ 第3回利払繰延条項・期限前償還条項付無担保社債(劣後特約付)」だ。

 発行総額は4000億円、期間は25年で、円建てで発行されるため為替リスクはない。金利は3%ながら、5年目以降20年目までは6カ月ユーロ円LIBOR(ライボー:ロンドン銀行間取引レート)+円の5年スワップ・ミッド・レートへの上乗せ幅+0.10%(3.16%)。20年目以降満期までは、6カ月ユーロ円LIBOR+円の5年スワップ・ミッド・レートの上乗せ幅+0.30%(3.36%)となる。

紙くずとなる可能性も

 3%を超える利率は、個人投資家には妙味ある商品。しかし、思わぬ落とし穴も潜んでいる。名称が示す通り、各種の条項・特約が付帯している点である。

 まず、今回のソフトバンク債は劣後特約が付されている。劣後特約とは、普通社債などの一般債権よりも元利金の返済順位が劣後するという特約で、もしソフトバンクが破産や会社更生・民事再生等の法的破綻手続きに入った場合、一般債権者や上位の劣後債保有者への弁済が完了した後に、残りの資産があれば弁済されるもの。つまりソフトバンクが破綻すれば、当該社債は紙くずとなる可能性が高いというわけだ。

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