韓国サムスン電子の最新スマートフォン(スマホ)「Galaxy Note7」が、世界を揺るがしている。8月の発売後、世界各国で発火・爆発問題が続発し、10月には製造中止へと追い込まれた。その後も航空機内への持ち込み禁止や部品メーカーへの補償、関西空港での発煙騒ぎ、日本国内での発売中止など、話題には事欠かない状況だ。
スマホ世界シェア1位を独走するサムスンにとって、これまでにない試練となったNote7問題。改めて振り返ってみたい。
リコールによるバッテリー交換では解決せず、製造終了へ
10月19日、冬モデル発表会を開催したNTTドコモは、「Note7をラインアップに加える予定だったが、発火などの問題があり、取り下げた。サムスン電子からも発売を見送りたいとの話があった」とコメント。Note7の国内発売を断念したことを認めた。
Note7がここまで大きく注目される理由は、どこにあるのだろうか。一連の問題は、大きく2つの段階に分けられる。まずは、発火・爆発に至る重大な問題を出荷前に発見できず、市場に出荷してしまったことだ。
実は、スマホなど多くの電子機器が利用するリチウムイオン電池は、絶対に安全なものとはいえない。動作保証された充電器を使い、正しく制御しなければ異常発熱や発火に至ってもおかしくない性質がある。だがNote7では通常利用中でも発火しており、発売から短期間で多数の事故が起きたことが特異な点だ。
もしサムスンが原因を正しく解明し、最初のリコールで問題を解決していれば、騒ぎはここまで大きくならなかったはずだ。だが、サムスンが原因として発表したサムスン子会社製のバッテリーを交換しても、Note7からの発火は収まらなかった。
真の原因はどこにあったのか。充電を制御する基板や、スマホの構造設計に問題があった可能性も指摘されている。いずれにしても、サムスンが販売再開を急ぎすぎた感は否めない。10月11日、サムスンはNote7の製造と販売を終了することを発表した。
Note7問題でサムスンの損失は数千億円規模に
こうして製品としての寿命が断たれたNote7だが、韓国では回収に応じず使い続けるユーザーが多いとの報道もあり、当面この問題は収束しそうにない。2016年内にも世界で1400万台の出荷が見込まれていた大型商品だけに、その影響範囲は各国にも及んでいる。