太陽光発電ブーム終焉でも参入、「草刈機まさお」などダジャレ商品名…ヘンな超優良企業
ブームは時に機会ではなく、企業を苦境に陥れる危機となりうる。再生可能エネルギーもそのひとつになりつつある。東日本大震災の翌2012年に始まった固定価格買い取り制度(FIT)で、多くの企業が太陽光発電市場に参入した。太陽光発電は再生可能エネルギーのなかでも比較的参入が容易だったことと、国が買い取り価格を「固定」で保証したことが参入に拍車をかけた。
新規参入を促すという意味では成功だったが、想定以上に参入が多かったことが思わぬ事態をもたらした。電力系統に影響を及ぼしかねないと再生可能エネルギーの受け入れを拒否する電力会社が出てきたり、買い取り価格も「固定」ではなく減額となったりしたのである。
その結果、太陽光発電事業者も太陽光発電パネルを生産するメーカーも苦境に立たされている。将来はさらに暗そうだ。ある大手調査会社では、20年度の太陽光発電の国内市場規模は、15年度比65%減と大幅に縮小すると予測している。
その一方で、太陽光発電市場を成長市場ととらえる企業もある。農業機械メーカーの筑水キャニコムだ。
ユニークな商品名で業績を伸ばす
福岡県うきは市で農業機械を専門に扱っているのが筑水キャニコムだ。ダジャレを使ったユニークな商品名が話題で、よくメディアにも登場する。たとえば、四輪駆動の草刈り機は「草刈機まさお」、四輪駆動の芝刈り機は「代表取締役社長 芝耕作」といった具合だ。前者はNHKの大河ドラマ『真田丸』で真田昌幸を熱演した草刈正雄さんの名前から、後者は人気漫画『島耕作』(講談社)に由来していることはいうまでもない。
ユニークな商品名は国内だけではない。海外で販売する大型雑草刈り車には「ブッシュ カッター ジョージ」という名前をつけている(「やぶ」を意味するブッシュとジョージ・ブッシュ元米国大統領の名前とをかけている)。
商品名にダジャレをつけ始めたのは1980年からというから、すでに35年以上の歴史を持つ。当時、開発中であった草刈機を試したところ、その切れ味に驚き「どんな草でも真っ青」と感じたことから思いついたようだ。今では200種類以上もの商品にダジャレが使われている。
こうしたネーミングは農家にとって実に覚えやすく、なじみやすい。なかには「うちの“まさお”が」と親しみを込めて呼ぶ農家があるほどだ。農業機械の多くはアルファベットと数字を組み合わせた商品名だ。そうしたなかで、筑水キャニコムの商品名は特徴を表しながら親しみを持てる実に見事なネーミングだ。