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中国鉄鋼大手、日本の無償支援で成長し新日鐵をシェア逆転…異常な供給過剰無視しひたすら巨大化

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「Thinkstock」より

 日本経済団体連合会(経団連)の榊原定征会長らが参加する経済界の訪中団は9月21日、北京市の人民大会堂で中国の張高麗副首相と会談した。日中経済協会の宗岡正二会長(新日鐵住金会長)は「(鉄鋼などの)過剰生産能力の削減とゾンビ企業の淘汰を引き続き進めてもらいたい」と要請した。

 張副首相は改革を進めるとしつつも「(過剰生産は)かなり改善されている」と述べ、日本側の認識と、かなりのズレを見せた。

 中国の鉄鋼業界は、国内景気の減速もあって過剰生産に陥り、投げ売り同然の安値で鋼材を輸出している。これが鋼材の国際市況を悪化させる元凶となっている。

 そのため先進国の鉄鋼メーカーは2012年、13年にドン底にたたき落とされた。日米欧の各社は製鉄所の休止や売却を進めたが、中国と韓国のメーカーだけは、逆に生産設備を増強した。

 中国が鉄鋼製品を安値で輸出していることに対して世界中で不満が高まっている。それにもかかわらず、中国政府は世界最大の鉄鋼メーカーをつくる野望を隠さない。

国有企業の巨大化で世界トップを狙う


 中国の鉄鋼再編は政府のサジ加減ひとつで決まる。つまり、官製再編といえる。

 宝鋼集団(上海市)と武漢鋼鉄集団(湖北省)は9月20日、両社の上場子会社である宝山鋼鉄と武漢鋼鉄の統合計画を発表した。株式交換により宝山鋼鉄が武漢鋼鉄を吸収合併する。

 国務院傘下の国有資産監督管理委員会が全株を保有する親会社2社に関して、どういう道筋で経営統合するのかについての具体策は公表されていない。中国メディアによると、宝鋼集団が中国宝武鋼鉄集団に社名変更した上、武漢鋼鉄集団が、その傘下に入る案が有力視されている。

 中国の鉄鋼産業は景気減速でビル建設などに使う鋼材の需要が減ったため、深刻な供給過剰に陥った。そこで、中国政府は20年までに総生産能力の約1割に相当する1億~1億5000万トンを削減する目標を掲げたが、生産設備の廃棄は十分に進んでおらず、今回、政府主導で国有大手2社を合併させた。両社の統合を機に下位メーカーの淘汰を加速させる狙いが秘められている。

 9月21日付ウォールストリートジャーナル電子版は、「宝鋼集団出身で現在は武漢鋼鉄集団の菫事長を務める馬国強氏は7月、中国国営新華社通信に対し、過剰生産能力の削減には『真の再編』が必要だとし、『巨大合併によって再編がうまく進むとは限らない』と語っていた」と報じた。